「プライド」と「生活」高齢者の免許返納を考える - 池袋暴走事故から2年
高齢者の免許返納 ―― 地方自治体もより積極的に
地方自治体も、免許返納後の暮らしを支えるべく、様々な施策を打ち出している。 静岡県富士宮市では、2021年4月1日以降、高齢者で免許を自主返納した方に交付する交通補助券を1万円から3万円へと増額した。交通補助券は、市内の公共交通機関や加盟タクシーなどで使用可能だ。 栃木県鹿沼市では、平成29年8月より、全ての運転免許を返納した65歳以上の鹿沼市民及びその配偶者(運転免許不保有)を対象に「リーバス・予約バス終身無料乗車券」を交付している。 「終身無料乗車券の申請数は年々増加傾向にあり、バスの運行数も増やしています。ただ、申請にこられた方の9割が『今まで一度もバスを利用したことがなく乗り方が分からない』と仰います。そのため、バスの乗り方からレクチャーすることも......。免許を返納する前から、市内のバスに乗り慣れていただけると、返納後の生活への移行もスムーズに進むのではないかと感じています」(市民部生活課交通政策係担当者) 高齢ドライバーの周辺環境は一様ではなく、誰しもがすぐに免許返納を前向きに考えられる状況ではない。 こうした事情を踏まえた上で、熊谷さんは「危機感を持つ」ことの重要性を説く。 「高齢者の8割が自分の運転技術に自信があるといわれていますが、自信を持つことが一番危険です。免許を取ったばかりの頃は、誰しもハンドルを握ったら常に緊張し、危機感を持っていたはずです。初心を忘れずに危機感を持って運転を続けられれば、事故は絶対に減ると思います」 (制作協力/シオン)