イラク戦の鍵を握る本田圭佑のインサイドハーフ起用は成功するか?
時間を巧みに使って状況を変えるには、タッチラインを背負うことで、前方から来る相手だけをケアできる両サイドは絶好の緊急避難場所となる。しかし、本田を除いたサイドの選手、左の原口元気(ヘルタ・ベルリン)と乾、右の久保と浅野拓磨(シュツットガルト)に同じプレーを求めることはできない。 ましてや試合会場のテヘランは、キックオフ時間の現地時間午後5時前になっても、35度以上の猛暑に見舞われている。標高も1300メートルと高く、状況によっては試合全体を落ち着かせて、身心を休ませるプレーも必要になる。 本田が右サイドにいればキープ役には打ってつけだが、それでは今冬に移籍したヘントで11ゴールをあげた久保の得点力を生かせない。インサイドハーフの位置でキープすることもできるが、相手選手数人の標的とされ、万が一、ボール失ったときにはカウンターのリスクにもさらされる。 まさに諸刃の剣となりかねない本田のインサイドハーフ起用だが、香川を欠いたいま、状況は待ってくれない。シリア戦の後半で得た好感触とイラク戦当日に31歳なるベテランが積み重ねてきた重厚な経験に望みを託して、先発メンバーの中盤の欄に「4番」が書き込まれることになるだろう。 (文責・藤江直人/スポーツライター)