不動産会社の女性経営者が教える! プロがこっそり本音を漏らした「光熱費が高くなるNG間取り」
光熱費の高騰が続く今、毎月かかる出費はできるだけ抑えて暮らしたいですよね。今回は、女性に特化した不動産会社を経営する 平出雅美さんに「光熱費を節約できる間取り」をテーマにお話をお伺いしました。プロからのアドバイス、ぜひ物件選びのヒントにしてください。 【保存版】光熱費が大きく変わるかも!? 「NG間取りチェックリスト」はコチラ。
不動産会社の女性経営者が教える! プロがこっそり本音を漏らした「光熱費が高くなるNG間取り」
【女性が知っておくべき「賃貸物件」基本のき】vol.63 ―電気代や水道代などの光熱費は、建物全体の構造や間取りによって変動するものでしょうか? 平出さん 物件全体の構造や間取りによって光熱費は大きく変わります。ほぼ同じ広さの物件に住んで同じ過ごし方をしていても、引っ越しをしたら光熱費が上がってしまったという人は少なくありません。 ――「電気代」が高くなりやすいNG間取りや物件について教えてください! NG1. 「断熱性能が低い構造の物件」 平出さん 電気代が1番かかるのはエアコンです。そのため、断熱性能の高い構造を選ぶことで冷暖房費を節約することができます。厚い素材でできているほうが断熱性が高く、一般的に断熱性が高いのは鉄筋コンクリート造、次に鉄骨造、木造の順番です。窓が最も外気の影響を受けやすいのですが、二重サッシや複層ガラスになっていると、さらに断熱効果が高まるため電気代の節約につながります。また、古い年式のエアコンは最新の省エネタイプと比べると電気代がかさむので、内見の際にエアコンの年式の確認も行うようにしてください。 NG2. 「日当たりや風通しが悪い間取り」 平出さん 窓が大きく日当たりがいいお部屋は、冬でも日光を多く取り入れられ、昼間に照明を使わなくてすむうえ、暖房費を節約できます。西日が入る物件は冬は暖かくていいのですが、夏はかなり温度が上がってしまいますので斜光カーテンなどを取り入れるのがおすすめです。風通しがいいお部屋は熱を逃がせるため、夏の冷房費を抑えることにつながります。 NG3. 「生活スペースが区切られていない間取り」 平出さん ワンルームで空間を仕切るドアがなかったり、デザイナーズ物件に多い高い天井の吹き抜けやメゾネットタイプは、オシャレで人気の間取りではあるものの空間面積が大きいため、エアコン代がかさむデメリットがあります。そのため電気代を考えるとおすすめできません。お部屋が区切られていたり、空間が小さくなるほど冷暖房の効率はよくなります。 ――「水道代」が高くなりやすいNG間取りや物件があればぜひ教えてください! NG1. 「浴室や浴槽が大きすぎる間取り」 平出さん 広い浴室は人気がありますが、浴室が大きすぎると湯船につかるのに多くの水が必要になるため水道代を抑えにくいです。そのため、コンパクトな浴室や浴槽内に段差がある物件を選んだ方が節約につながります。 NG2. 「節水シャワーヘッドがない物件」 平出さん 製品によって節水率は異なりますが、節水シャワーヘッドを使うことで水道代の節約ができます。備えついている物件は多くはないのですが、ほとんどの賃貸物件はシャワーヘッドの付け替えが可能です。市販のものですと価格は2,000円台から30,000円台までとさまざまですので、ぜひ調べてみてください。シャワーだけでなく、キッチンや洗面台につける節水アイテムもあるのでチェックしておくといいです。 NG3. 「食洗器がついていない物件」 平出さん 手洗いは水を流しっぱなしになってしまうのですが、食洗器を使えば、食洗機の中で水を循環させて洗ってくれるため節水になります。手洗いに比べて水道代と電気代が約半分になることも。ひとり暮らしの間取りの場合、キッチンに食洗器がついてることは少ないですが、工事不要で設置できるタイプもあるのでおすすめです。 ――「ガス代」が上がりやすいNG間取りや物件があればぜひ教えてください! NG1. 「都市ガスでない物件」 平出さん ガスは都市ガスとプロパンガスの2つに分けられますが、基本的には都市ガスの方がガス代は安くなります。都市ガスは、ガス管が整備されているエリアにしか提供できないため、供給エリアは都市が多く23区内は都市ガスの建物が多いです。ガスと聞くと、キッチンのガスコンロを思い浮かべる人が多いと思いますが、お風呂などの給湯、床暖房にもガスは使われていますので、給湯温度や床暖房の温度を低めに設定することでもガス代の節約につながります。ガスキッチンを使う場合は、煮込み料理など長く火を使う料理は控えるなど工夫次第で節約が可能です。 ――光熱費をできるだけ抑えたい、節約したいと思う人に向けて「これはしない方がいい」「こういった間取りは選ばない方がいい」などNG行動を教えてください! 平出さん 浴室乾燥機を多用するのはやめておいた方がいいです。浴室乾燥機が備えついている物件はとても便利ですが、毎日使うと電気代がかさんでしまうため注意してください。節約面を考えるのであれば、洗濯物は外で干した方が経済的だと思います。また、トイレタンクの節水対策をしすぎるのも要注意。トイレタンクにペットボトルや節水アイテムを入れる節約法が一時期流行しましたが、トイレタンクのなかにはボールタップやゴムフロート、オーバーフロー管の部品があり、これらの部品が壊れて水漏れの原因になる恐れがあるため、おすすめできない節約方法です。もし壊れてしまっても修理代は入居者負担になってしまう可能性が高いので気を付けてください。 ――光熱費の問題で損をしてしまった、後悔をしてしまったお客様の実際のエピソードはありますか? 平出さん 水道代が、告知なく急激に高くなって驚かれていたお客様がいました。管理会社とやりとりをしていただいて、原因は家の外の水道管の老朽化だったことがわかり、水道局に免除申請をしお客様の負担なしで解決することができました。水道代が急に高くなることは水の出しっぱなしや漏水以外にはないことなので、トラブルがあれば慌てずに管理会社または水道局に相談してください。 ――平出さんが光熱費を抑えるためにしていること、お客様から聞いて「これはいい!」と思った光熱費の節約方法があれば教えてください! 平出さん 昔古いアパートに住んでいたとき、隙間風に悩んでいたのですが、隙間テープや窓に貼る断熱材を使ったことでとても効果がありました。電球を全てLEDに変えるのもおすすめです。電球より高いですが長期的に考えれば安いですし、引越しのときに持っていくことができます。また、地元が北海道のお客様に教えてもらったのですが「布団はケチらずいい羽毛布団を使えば朝まで暖房はいらない」と聞きました。早速私も羽毛布団を買いましたが、確かに寝るときにエアコンは必要ないなと思ったので、エアコン代が節約できるし寝心地もいいのでおすすめの節約方法です。 快適なひとり暮らしを始めるために知っておこう 物件探しは賢く丁寧に。引っ越しを検討している人は、今回のポイントをぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。 教えてくれた人 株式会社東京女性不動産 代表取締役社長 平出雅美さん 宅地建物取引士所持。不動産歴3年目、2021年11月に「東京女性不動産」を開業。 東京女性不動産は、安心してお部屋探しができることを第一に、相談から契約まですべて女性スタッフが担当。女性一人での東京のお部屋探しを、女性ならではの視点で親身にサポートしています。LINEでの相談もできます。安心して新生活を始められるように、ストーカー保険の提案やRefaプレゼントなどのサービスもあって、さすが女性にやさしい! 電子書籍「宅建の教科書」がKindleにて好評発売中。 文・市岡彩香 anan web、anan Beauty+を中心に執筆するフリーライター。これまでに取材した人数はタレントや経営者を含め500名以上。インタビューライター、フードライターとして活動中。 ©ssdd/Adobe
市岡彩香