「天空に続くような貸し切り風呂が最高すぎる!」全室露天風呂つき温泉ホテル「はつはな」に宿泊して“魅惑の空間”に驚いた
続いて大浴場を。 全面ガラスの窓から竹林を眺める、縁側のようなラウンジと着替えスペース。 宿泊客だけが利用できる露天風呂に入るまでがすでに、ラグジュアリーな和モダンの世界。 大浴場「竹の葉」はなんと岩風呂でした。 デザイン空間の貸切風呂とメリハリをつけた土着的な温泉。 上の写真以外にも幾つか浴槽があり、一箇所に人が密集せずゆっくりできそうです。 ラウンジなども含めると、かなりの敷地面積になる大浴場です。 思わず「宿泊客以外にも温泉施設として開放すれば、ここだけで別の経営ができそう」と考えてしまったのは、野暮なビジネス発想でしょうか。 この館には貸切風呂に加えて全客室が温泉風呂つきです。 わざわざ大浴場に行くのは、日本風情を味わいたい人、“ザ・浴場”を好む人に限られそう。 とはいえ選べる範囲を広く設定しているのが、はつはな流のホスピタリティ。 ここに泊まって風呂に不満を持つ人は皆無なんじゃないかと思います。 実はもうひとつ大浴場「山の端」があります。 その一角が上の写真。 時間帯での男女入れ替え制。 これでもかっ、てほど温泉を充実させたホテルです。
離れの大浴場に行くにはスロープカーを使います。 箱根といえばロープウェイ、それに似たプチ体験ができるのが楽しすぎ! ごく短いルートながら充分にアトラクション気分です。 客が入口でボタンを押して呼ぶだけの簡単操作。 大人だって、ワクワクするものはワクワクするんです。
前編<宿泊部屋、夕食・朝食>、後編<館内、貸切風呂、大浴場>と2回にわけてお届けした今回のはつはな紹介はいかがだったでしょうか。 旅をする宿泊客に特化した「泊まり体験して、ここだけで完結する」ホテルです。 館内にはほのかにオリジナルのアロマが香り、エントランスから入館したとき、客室から廊下に出たときに爽やかな気分になれます。 客を居心地よくさせる温もりの工夫が、シャープな現代建築を冷たく感じさせないことにも役立っています。 前篇でも述べたように、一般的なラグジュアリーホテルとはやや存在が異なる宿泊所だと思います。 風呂を選ぶ自由度がとても高い反面、食事の種類は限られます。 (夕食はコース料理のみ) 食べられる時間帯も制約があります。 食事のルームサービスはなく、家電類の生活用品の装備も限られます。 ホテル周辺は、ほぼ山と道路だけ。 軽食やアメニティを買えるコンビニ類が近くになく、ホテル内にも同様の売店や薬局がありません。 宿泊客は泊まるために何が必要なのか把握しておく必要があるでしょう。 ただ宿泊した実感でお伝えしておきたいのは、チェックインから翌朝まで居続けて、退屈する大人はまずいないだろうということ。 この記事に掲載した写真と紹介文で「自分に合いそう」と感じた方であれば。 気分をリラックスさせつつも感覚を研ぎ澄ます、大人流の箱根の楽しみ方をこのホテルは教えてくれました。
高橋一史|ファッションレポーター/フォトグラファー 明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
写真・文:一史