ラトニック氏のキャンター、ビットコイン担保融資でテザーと協議か
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領から商務長官に指名されたハワード・ラトニック氏は、ステーブルコイン発行元最大手のテザー・ホールディングスとの関係を強めようとしている。デジタル資産業界でも名うての重要企業であり、物議を醸すことは必至だ。
ラトニック氏は最高経営責任者(CEO)を務めるキャンターフィッツジェラルドとテザーとの金融提携を深めるべく同社と協議に入っている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
キャンターはビットコインを担保に差し出す顧客にドルを貸し付ける数十億ドル規模のプログラムを計画しており、これにテザーからの協力を取り付けようと協議している。関係者らは公に話す権限を持たないことを理由に、匿名で明らかにした。
このプログラムの資金は20億ドル(約3100億円)からスタートし、いずれは数百億ドル規模への拡大を想定していると、別の関係者はブルームバーグに述べた。
テザー・ホールディングスは米ドルに連動するステーブルコイン、テザー(USDT)の価値を裏付けるため、数十億ドル相当の米国債を保有。このカストディー(資産管理)業務を現在、キャンターが請け負っている。複数の関係者によれば、キャンターはこの契約で年間数千万ドル規模の利益を得ている。
トランプ氏は最近、ビットコインなどのデジタル資産への支持を公にしており、息子たちが関与する暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールド・リバティー・ファイナンシャル」を推進している。政権移行チームはホワイトハウスに暗号資産担当ポストを新設する是非を検討していると、ブルームバーグが20日に報じた。
キャンターの広報担当者はコメントを控えた。テザーの経営幹部には通常の営業時間外にコメントを求めたが、返信はない。
テザーの裏付け準備金、確かに存在する-カストディアンのキャンター
テザーは経済制裁やマネーロンダリング(資金洗浄)防止規則に違反した疑いがあるとして、米国をはじめ複数国の監視対象になっている。同社は不正の事実を否定している。