携帯大手は揃って販売見送り、それでも「Find X8」を日本市場に投入するオッポの狙い
チップセットには、台湾メディアテック製のハイエンド向けとなる「Dimensity 9400」を採用し、昨今注目を集めるAIを活用した機能も強化。5630mAhの大容量バッテリーを搭載し、IP68およびIP69の防水・防塵性能を備えるなど、ハイエンドモデルらしい強化がなされています。それでいて価格は139,800円と、ハイエンドモデルとしては比較的価格が抑えられました。 ■「ローカライズせず早期投入」はメーカーの生き残り策 ただ一方で、OPPO Find X8の販路を確認すると、MVNOの「IIJmio」と家電量販店やECサイト、そしてKDDIの「au +1 collection」がオンラインで取り扱うようです。ですが、au +1 collectionが扱うのは基本的にスマートフォンのアクセサリーや周辺機器などで、そこで販売されるスマートフォンはいわゆる“SIMフリー”と変わらない扱いとなります。
それゆえOPPO Find X8は、OPPO Find X2 ProやOPPO Find X3 Proの時とは違って、実質的に携帯大手が扱わないSIMフリーモデルのみの販売となるわけです。それはすなわち、携帯大手のショップなどの販売網を活用できないことから、必然的に販売数が大幅に減ることも意味しています。 そもそも、オッポが3年にわたってFind Xシリーズの新機種を投入しなかったのは、携帯大手に採用されなくなったためと見られています。実際、Find Xシリーズが投入されなくなった2022年以降は、急速に進んだ円安と政府のスマートフォン値引き規制強化によって、スマートフォンの価格が大幅に高騰し、ハイエンドモデルが売れなくなった時期と重なります。携帯大手の側がハイエンドモデルの調達を減らした結果、Find Xシリーズの採用がなされなくなったと考えられます。 そして現在も、ハイエンドモデルを取り巻く環境が厳しいことに変わりはなく、携帯大手も販売を増やしにくい状況にあるのですが、それにもかかわらずなぜ、オッポはあえて販売数が少ないオープン市場でFind Xシリーズの投入に踏み切ったのでしょうか。河野氏は「我々はむしろ、現時点では逆だと思っている」と答えています。 携帯大手から販売するとなると、例えばFeliCaの搭載や、日本でしか使われていない周波数帯に対応するなど、さまざまなローカライズが必要になり時間がかかることから、メーカー側が端末を投入したいと思ったタイミングで投入できないといいます。それゆえ、オッポの方向性をいち早く打ち出す製品を、メーカー側の判断で適切な時期に投入するべく、あえてしがらみのないSIMフリーモデルとして販売したとのこと。実際、OPPO Find X8はグローバル展開を発表した1週間後という素早いタイミングで日本投入が打ち出されています。 実は、あえてオープン市場向けに特化し、最新モデルをいち早く投入するという動きは、2024年に入って急加速しています。実際、中国シャオミのハイエンドモデル「Xiaomi 14 Ultra」や英Nothing Technologyの「CMF Phone 1」などは、オープン市場向けとして海外での発表から早期に国内投入がなされた一方、日本向けのカスタマイズがほぼされていない状態で販売されています。とりわけ、CMF Phone 1はFeliCaどころか、NTTドコモやKDDIのプラチナバンドである800MHz帯にさえ対応していません。