アメリカ屈指の老舗「ペンドルトン」はなぜ、100年経っても、古さを感じさせず、普遍的でいられるのか
「カスタマーに対して正しいことをしていきたい」
―― 近年はナイキやザ・ノース・フェイスといったスポーツ&アウトドアブランドから、サカイやメゾン マルジェラといったモードメゾンまで、幅広いコラボレーションを展開していますが、戦略的にコラボをどう捉えていますか? ジョン コラボレーションのメリットのひとつは、まったく新しい顧客層へアプローチできること。そしてもうひとつは、パートナーの視点から自社製品を客観的に見つめ直せることです。さらに市場におけるペンドルトンの鮮度を保つのにも役立っているでしょう。こうしたメリットを鑑みても、コラボは戦略的に重要と捉えています。 ―― コラボレーションのパートナーはどうやって選ばれていますか? ジョン 厳格な選考基準などはないのですが、できるだけ間口は広くもつようにしています。なぜなら、例えば私たちとは異なるカテゴリーのブランドなどと組むことで、新しさや鮮度を取り込むことができるからです。ゆえに私たちの基本姿勢から逸脱していなければ、交渉に応じるようにしています。ひとつ重視するのは、私たち同様に製品の品質に対するこだわりがあるかどうかです。 ―― 現在のアメリカ国内のカスタマーの年齢層はどれくらいですか? ジョン 年齢層のボリュームゾーンは2つあり、ひとつは30~45歳、もうひとつは55~60歳で、それらで6割以上を占めています。60歳を超えている私とボブは、すでに外れていますが(笑)。いずれにしろ、異なる年齢層へのアプローチは重要であり、リーチする方法を常に模索しています。なかでも若い世代へのアプローチは重要な戦略のひとつであり、SNSなども注視しているのですが、“本物”をわかっているインフルエンサーは少ないと感じます。あくまで私たちがリーチしたいのは、若い世代のなかでも本物や伝統などを重んじるグループであり、人工的なブームを起こしてまで不特定多数の若者に訴えようとは思いません。 ―― 日本のビジネスシーンについてはどう思われますか? ジョン 日本には老舗企業が多く、伝統やクラフツマンシップを重んじる文化がある。その反面、最新技術の研究などにも余念がなく、伝統と革新を両立させている点に、私たちと通じるものを感じます。 ボブ 日本のビジネスシーンから感じる品質へのこだわりやモノづくりに対する熱量には、いつも感服しています。かつてアメリカでも感じたことですが、いまでは感じられなくなってしまったので。例えば店舗を見ても、日本にはバイヤーが一点ずつ吟味したであろうアイテムを丁寧に並べた店が少なくないですが、アメリカはとにかく大量のものを圧縮陳列した店ばかりです。 ―― 100周年を迎えたウールシャツを含め、今後の予定は? ジョン ブランケット同様に、ウールシャツはペンドルトンにとって不可欠なアイテムであり、間違いなく今後もつくり続けていくでしょう。企業としてはこれまで通り、カスタマーに対して嘘のない正しいことをしていきたいと思っています。そして商品だけではなく、カスタマーとさまざまな価値観を共有していければ幸いです。 ボブ 新しいプロジェクトとしては、2025年春夏より初のスイムウェアのラインをローンチする計画です。すでに好評をいただいているジャカードタオルと親和性があり、同じ売り場に投入を予定しています。これは私たちも楽しみにしています。