「殺すぞ」、バス会社「国際興業」社内でカミソリ入り脅迫文、運転士が精神障害に
「殺すぞ」と書かれた脅迫文や、カミソリの刃入りの脅迫文を勤務先の個人ロッカーに入れられるなど、職場でさまざまな嫌がらせやいじめを受けたことが原因で精神障害を発病したとして、元バス運転士の男性が8月7日、労災認定を求めて東京地裁に提訴した。これまでも労災補償保険法上の休業補償給付を請求していたが、労働基準監督署長から不支給処分を受けており、この不支給処分の取り消しを求める形で、国を相手取って裁判を起こした。
提訴したのはバス運転士として国際興業(本社・東京都中央区)に勤務していた槙野圭さん(51歳)。訴えによると槙野さんは2015年5月に国際興業に入社。さいたま市の西浦和営業所で勤務していたが、入社当初から指導運転士によって執拗なパワハラを受け、19年8月ごろからは上司や同僚らからの無視や暴行、いじめ・嫌がらせ行為が始まった。同年11月には、社員しか入れないロッカー室の個人ロッカーに「殺すぞ」などと書かれた脅迫文が入れられた。さらに20年1月には「運転出来なくしてやろうか」という内容の脅迫文にカミソリの刃が添えられていた。こうしたことから槙野さんには気分の落ち込み、意欲低下、不眠などの症状が出るようになり、心療内科において、うつ病や適応障害が発病したとの診断を受けた。現在でも精神科に通院中で、国際興業からは22年8月付で解雇通知を受けている。 二つの脅迫文について訴状では「内部の者による犯行であることは明らか」と指摘。槙野さんは脅迫文に関して上司らに相談したが適切な対応はなく、「被害届を出すと、会社にいられなくなる」と脅迫を受けた、という。 また、訴状によると槙野さんの指導運転士は入社当初から毎月のように槙野さんの胸ぐらをつかむという暴力行為を執拗に行なっていた。20年1月にこの指導運転士は「警察沙汰にすると会社にいられなくなるぞ」と槙野さんの胸ぐらをつかみながら「定年までいたいんだろ」と凄んできたという。