センバツ2024 報徳、2年連続の夢舞台 粘りの野球で頂点へ /兵庫
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の選考委員会が26日、毎日新聞大阪本社オーバルホールで開かれ、報徳学園(西宮市)の2年連続23回目の出場が決まった。前回大会で準優勝した経験を生かし、粘り強い野球で全国の高校の頂点を目指す。組み合わせ抽選会は3月8日。大会は西宮市の阪神甲子園球場で同18日に開幕する。【稲田佳代】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 報徳学園の選手らは、講堂の大スクリーンに映されたライブ中継で出場決定を見守った。校名が読み上げられると、能登半島地震の被害状況を踏まえ、選手たちは再び大舞台に立てる喜びを静かにかみしめていた。 元田利幸校長は「心から叫びたい気持ちを抑えて、今そこに座っている気持ちは痛いほどよくわかる。精いっぱいのプレーで苦しむ方に勇気と希望を与えてほしい」と激励。大角健二監督は阪神大震災の年に多くの支援を受けたことを振り返り、「報徳野球を全力でやっていきましょう」と呼びかけ、主将の間木歩選手(2年)は「全ての人に勇気と感動を与えられるプレーをしたい」と誓った。 見守った父母会長の西村憲二さんは「校名が呼ばれてうるっときた」とスタンドで応援する日を楽しみにしていた。 ◇守り、走り、好機捉える 野球部には92人が所属。2023年春の準優勝を経験した選手たちが屋台骨となり、投手陣を中心とした堅守と巧みな走塁技術、好機を逃さない勝負強さを持ち味としている。 23年秋の近畿大会では、初戦の奈良大付(奈良)を2―0で降した。続く大阪桐蔭(大阪)との準々決勝は3―4で惜敗したが、安定した守備や得意の走塁で接戦に持ち込む戦いぶりだった。 チームを引っ張るのは、切れのある直球と鋭く多彩な変化球を持つ右腕の間木主将。150キロの直球を投げる本格右腕、今朝丸裕喜投手(2年)や、近畿大会で大阪桐蔭の上位打線を3者凡退に仕留めた西田健翔投手(同)らも切磋琢磨(せっさたくま)している。 二塁送球タイムが平均1・9秒台という徳田拓朗捕手(同)は守備の要。二遊間を守る山岡純平選手と橋本友樹選手の1年生コンビは高い守備力を誇る。 打線は広角にヒットを放つ西村大和選手(同)や斎藤佑征選手(同)が主力。四球や盗塁からチャンスを作り、2死からでも得点できるしぶとさを持つ。 間木主将は「優勝だけを目指して頑張りたい」と意気込み、大角監督は「準優勝を見ただけに、優勝に手が届くと分かっているはず」と期待を込める。 ◇須磨翔風は選出されず 昨年秋の近畿大会で初めて8強入りした須磨翔風は選出されず、近畿地区の補欠校となった。選考のライブ配信を見守った村上昌也校長は「応援していただいた皆さんに感謝します」と語った。 練習中の部員を集めた中尾修監督は選考結果を告げ、「力をつけて何があっても出られる準備をしたい。夏は1番になれるように精進していきたい」と奮起を促した。榧谷颯人主将は「打力、守備力のワンランクアップに取り組みたい」と前を見据えた。【関谷徳】 ◇みんなで写れた喜び 部員ら号外手に 報徳学園の出場決定を受け、毎日新聞は26日、号外を校内や最寄り駅の阪急甲東園駅前で配布。野球部員はグラウンドの隅で配られた号外に次々手を伸ばし、紙面に見入った。 操野拓真選手(2年)は1面の写真に自分の姿を見つけ、「甲子園の舞台に立てるうれしい気持ちだけでなく、プレッシャーもある。全員野球のチームなので、みんなで写っているのがうれしい」と笑顔になった。 また、紺谷壮大選手、藤原元輝選手、小山寛斗選手の2年生3人は、号外を広げ「自分たちの代で出られてよかった」と実感に浸っていた。【亀田早苗】 ……………………………………………………………………………………………………… ◆学校プロフィル ◇OB球界に多数 1911年、報徳実業学校として創設された男子校。52年に校名を現在の報徳学園中学・高校に改称した。選抜特進、特進、進学のコースがある。二宮尊徳(幼名・金次郎)の思想を教育の柱とし、質実剛健で感謝と思いやりを知る若者の育成を目指している。ラグビー部、相撲部も全国大会で活躍している。 甲子園にはこれまで春夏計37回出場。74年春、81年夏、2002年春の3回、全国制覇を遂げた。23年春の準優勝に貢献した堀柊那(しゅうな)捕手(3年)がオリックス・バファローズにドラフト4位で入団するなど、プロ野球界に多数を輩出。OBに金村義明さん(元近鉄など)や松本匡史さん(元巨人)ら。 西宮市上大市5の28の19(0798・51・3021)。 〔神戸版〕