自分自身を魅力ある人材として「ブランディング」するためには何が必要か
読者からの質問
【状況説明】 3年前に大手企業から、現在のXR & AI系のベンチャー企業に転職し、新規事業の企画立案から開発のエンジニアまで幅広く担当しています。 Photo by Gettyimages XRやAIの分野は技術の進歩が早く、状況が目まぐるしく変化するために、常に自分自身をアップデートしていく必要があります。 一方で、昨今は能力が高くても人間力がないと評価されない時代であるとも感じています。私は以前、音部さんの「ブランディング」の講義を拝聴したことがあり、受講生は皆、音部さんの人柄にまで魅了されていました。音部さんはモノだけでなく、ヒトもブランディングできるのではないかと、その際に感じました。 【音部さんに聞きたいこと】 人間力のある人は、仲間も仕事も集まります。私も音部さんのように、魅力のある人になりたいです。どうすれば自分自身を「ブランディング」できるのでしょうか? また、どんな「ベネフィット」を提供できれば、人はその人を「人間力がある」と判断するのかも、あわせて教えていただきたいです。 ※この連載では音部大輔さんへの質問を募集しております。音部さんに聞きたいことがある方は以下のボタンをクリックして、質問をご入力ください。 音部さんへの質問はこちらから
【音部さんからの回答】
大した人間力を持ち合わせているわけではありませんが、せっかくいただいたご質問から、人間力とブランディングの可能性について、ちょっと考えてみたいと思います。
人間力≒魅力的であること
「人間力」という表現は、とても多くの要素を含んでいると思われます。ここではひとまず「人間力≒魅力的であること」と仮定して話を進めていきましょう。 多くの生物種では、繁殖期には本能に定められたルールに則って競い合います。魅力の基準があらかじめ設定されているように見えます。進化の過程のなかで、もっとも効率のよい方法が採用されたのかもしれません。 対して、ヒトにはそうしたルールは存在しません。やさしさや正直さなど、多くの人が魅力を感じる特性はありつつ、やさしく正直でありさえすれば、全員が魅力的だと感じてくれるわけでもありません。DNAで一律に普遍的な魅力が規定されている様子はなさそうです。 蓼食う虫も好き好きといいますが、美しさの裏側には醜さというよりも異なる種類の美しさが、正義の対局には邪悪というよりも別の正義が、そしてタデの反対側には必ずしも蜜や甘露があるわけではなく、きっと他のタデがあるのではないかと想像します。もっとも魅力的に感じる特性の組み合わせは、人によって千差万別です。 こうした個性や好みの多様性は、果たして生物種としての進化の成果なのかわかりませんが、ヒトの魅力の基準には相当の多様性があるように思われます。人間が社会的な動物として進化してきているなら、魅力に多様性があることは、複雑化した社会生活の必然なのかもしれません。