自分自身を魅力ある人材として「ブランディング」するためには何が必要か
全員に好かれることも、嫌われることも、あまりない
実際、多くの人に好かれる事物や人物もありつつ、全員から好かれる人も、まったく誰にも好かれない人も、あまり見当たりません。存在していたとしても、ほぼ例外です。 社会は大勢の人間で構成されているので、それぞれに役割があります。全員に同じように評価される必要はありません。この様子は、誰からも好かれるブランドがないことと、ちょっと似ているように思います。 人間の産物であるブランドは、その特性も人間から譲り受けたのかもしれません。ご指摘のように、ブランドマネジメントの観点から、人の魅力を考察することができそうに思います。 ブランドの考え方には多様な思想や流儀がありますが、わたしはブランドを定義するときには「誰」をターゲット消費者とし、「なに」をベネフィットとするか、の2点を最も重視しています。これらを「WHO」と「WHAT」と呼んだりするマーケターたちもいます。 「ベネフィット」は、製品やサービスの「機能」と混同されることがありますが、両者は同じではないので注意しましょう。見分け方として、ベネフィットは消費者にとってなにがいいかを示すので、記述の際には消費者が主語です。対して、機能は製品やサービスの性能や品質のことなので、ブランドが主語です。 そのベネフィットはターゲットが製品を使用し、広告などのコミュニケーションを見聞きするといった、ブランド体験を通して実感されます。ブランドが提供するベネフィットにターゲットが強く魅力や愛着を感じているとき、そのブランド力は強いと理解できます。 こうしたブランドの考え方を、職場などにおける人の魅力について適用してみましょう。それぞれの人が生来もっている、あるいは獲得してきた性格や能力や個性(≒ブランドでいう機能)をもって、対象とする人や社会(≒ターゲット)にもっとも大きな意義をもたらしたり、貢献ができたりするとき(≒ベネフィット)、その人はきっと魅力的に見える、つまり人間力が大きいと認識できる、と説明できそうです。