台風でわが家の「窓ガラス」に、ご近所さんの屋根の瓦が! 仕方ないことだけど、“弁償”はしてもらえる? 請求できるのかを解説
災害大国といわれる日本では、毎年さまざまな自然災害が発生しています。自然災害のなかでも代表的なものの1つが台風ですが、その台風が原因で思わぬご近所トラブルが発生するケースも少なくありません。 本記事では、台風が原因で飛んできた隣家の瓦が、自宅の窓ガラスを割ってしまった場合、損害賠償が請求できるか否かについて解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
自然災害が原因で損害賠償責任が発生するケースはほとんどない
結論から記すと、今回のケースで隣人に損害賠償責任が発生する可能性は、かなり低いです。 そもそも損害賠償は、相手の故意や過失によって損害が発生した場合に請求できます。しかし、台風をはじめとする自然災害が原因で被った損害は、故意または過失によって生じた損害とはいえません。 そのため、損害賠償請求をしても、被害の補償をしてもらえないケースがほとんどです。
自然災害が原因でも損害賠償責任が発生するケース
自然災害が原因で損害が発生しても、基本的に損害賠償責任は発生しませんが、一部例外も存在します。 民法第717条には「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」とあります。 今回のケースの場合、天気予報で台風の上陸が予想できたにもかかわらず補強が必要な瓦を放置していた、強風が発生した場合に瓦が飛んで周囲に被害を与えるリスクがあることを隣人が把握していたと判断されると、損害賠償請求ができる可能性があります。 なお、通常の安全性を備えていたものの、発生した台風が想定を超えてしまい損害を発生させてしまった場合は原則、損害賠償責任は発生しません。
自然災害による住宅への損害が発生した場合の対処法
仮に損害賠償請求ができたとしても、すぐに相手が対応してくれるとは限りません。もし対処が遅れると自宅の修理ができず、しばらく快適とは言い難い環境で過ごす必要があります。 台風で自宅に損害を受けてしまった場合は、火災保険を利用するのがおすすめです。火災保険とは文字通り火災の被害に遭ったときの損害を補償してくれる保険のことですが、補償される種類や内容は商品によって異なるものの、火災以外の自然災害も補償対象となる場合があります。 今回のケースでは、台風による強風で住宅が損害を受けたため、損害の程度にもよりますが風災補償を受けることが可能です。台風の豪雨によって自宅が浸水被害を受けたり、土砂崩れが発生して自宅が倒壊したりした場合は、水災補償が適用されます。 ただし、くり返しますが、保険の商品やプランによって補償範囲や対象は異なるため、契約を結ぶ前に補償内容を確認しておきましょう。必要に応じて、追加料金を支払うケースもあります。 なお、家財にも火災保険をかけていた場合には、家具や家電製品などの家財も火災保険の補償対象となります。
自然災害が原因のトラブルに備えておこう!
今回のケースでは、一部の例外を除いて基本的に損害賠償請求はできないと考えたほうがよいでしょう。 自然災害が原因の損害に備えるのであれば、やはり保険への加入が確実です。支払われる保険金は商品の種類やプランによってさまざまですが、修理費用を全額補償してもらえる場合もあります。 加入している保険がある場合は、定期的に保険の補償の範囲を確認し、必要に応じて契約内容の見直しや変更も検討しましょう。 出典 e-Gov法令検索 民法 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部