自公政権のままでも新政権になっても年末には決着しなければならない「税制」の宿題がある
それを踏まえて、「令和6年度税制改正大綱」は、16~18歳の扶養控除について、所得税では現在の38万円から25万円に、住民税では現在の33万円から12万円にして、増税になる子育て世帯がないようにする案が盛り込まれた。 ■2024年末までに結論を得なければならない理由 しかし、岸田内閣下では2023年内に決めきれなかったため、「令和6年度税制改正大綱」では、この案を詳細に明記するとともに、「令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について扶養控除の見直しと合わせて結論を得る」とした。
2026年分の所得税からの適用を目指そうとすると、2024年末までに結論を得ないと間に合わない。なぜなら、2026年1月1日時点で、その裏付けとなる所得税法の改正が済んでいないといけないからである。 2026年の元旦までに法改正ができていればよいなら、何も2024年末までに結論を得なくてもよいようにみえる。 しかし、自公政権での税制改正論議は、春や夏には行われず、秋から年末にかけてしか行わないのが慣例である。2025年末までに扶養控除の見直しについて結論が得られたとしても、法改正ができるのは2026年の通常国会で、それだと2026年元旦には間に合わない。だから、この議論は、事実上2024年末までに済ませないといけない。
岸田内閣は終わったが、岸田内閣が残した宿題が総選挙後に待っている。 もう1つは、防衛増税である。 防衛増税の対象となる税目は、法人税、所得税、たばこ税である。これらを対象とすることは、「令和6年度税制改正大綱」、そしてその1年前に閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」にも明記されている。 「令和6年度税制改正大綱」を受けて、防衛増税を適当な時期から実施する旨が令和6年度税制改正法の附則に記され、すでに可決成立している。
ここで、防衛「増税」というが、所得税は直ちに「増税」するわけではないことを正しておこう。厳密に言えば、使途変更というべきである。 今すでに、復興特別所得税が所得税に上乗せされる形で課されている。その税率は2.1%である。そのうち、1%分を防衛力強化のために充てる(残る1.1%は引き続き東日本大震災の復興財源となる)ことにするという話なのである。 トータルで2.1%の税率であることには何ら変わらない。だから、所得税はすぐには負担増にはならないのである。