「たんこぶができているから大丈夫」は間違い?放置は危険な頭のけがについて
瞳孔不同
頭を打った後、危険な症状というのはありますか? 吉田「注意していただきたいのは、頭を打った直後は大丈夫なのに、数時間、場合によっては24時間経ってから症状が出ることが結構あります」 頭を打った直後は脳を圧迫するほどの出血量でもないので、症状が出ないということがあるそうです。しかしわずかでも出血が止まらない場合、それが溜って脳を圧迫するほど大きくなることがあるそうです。 吉田「だから意識を失うとか、激しい吐き気、頭痛が出た場合は、たとえ24時間経っても、CTをとれば血の塊は映りますから、必ず脳神経科を受診していただきたいです」 さらに注意が必要な症状を挙げる吉田先生。 吉田「頭を打って硬膜外血種ができたり、脳が損傷を受けた場合、目の瞳孔が片方だけ広がることがあります。その結果、右目か左目の片方だけ瞳孔が開いて、そっちだけまぶしく感じるわけです。これを『瞳孔不同』と言います」
セルフチェックの方法
脳に関することは、医者による診察が絶対必要となりますが、自分でできるセルフチェックについても開設する吉田先生。 吉田「実は、健康な人でも5人に1人くらいは瞳孔不同です。硬膜外血種や脳の損傷でこれがもっと激しくなることがあります。だから、普段の瞳孔の状態を覚えておいて、頭を打った時にそれが変化してないかチェックしていただきたいです。 頭を打った後、激しい格差が生じていたら、脳に問題が生じている可能性があります。打った直後、1時間後、24時間後とチェックしていただきたいです」
硬膜下血種
他にも頭を打った時には、疑うべき病気があるそうです。 吉田「硬膜下血種というまったく別の病気もあります。これは硬膜の内側に血種ができるものです。もっと厄介で、頭を打ってから症状が出るまでに1ヶ月から2ヶ月かかるものです。 じわじわ血液がたまってきて、大きくなり、頭痛、もの忘れ、歩きにくい、片方の手足に力が入らない、特に心配なのは意欲の低下、性格の変化、反応が悪い。これは認知症にすごくよく似ています」 実際にも医者が誤診してしまうこともあるという吉田先生。 頭を打ったら、いつ、どこで、どのように打って、どうなったかを手帳などにメモしておくと、診察の時に医師が正確に診断できるとのこと。 吉田「特にお酒を飲む方は気をつけてください。酔った時に頭をぶつけて硬膜下血種になるというケースはすごく多いです。周りの人は頭を打ったことを家族に教える、または酔いがさめてから本人に教えていただきたいです」 「たんこぶができているから大丈夫」は「誤り」とぜひ覚えておいてください。 (みず)