日本一厳しい警察学校『教場』のリアル 高低差ビル11階分の急勾配を走る地獄の訓練も それぞれの思いを胸に「耐える」
■同級生より10歳上の浦郷さんが「耐える」理由
浦郷さんのクラスメイトは、ほとんどが高校を卒業したばかりの18歳。周りより10歳年上の28歳で入校しました。 高校球児だった浦郷さんは、夏の甲子園にも出場。入場行進では、掛け声でチームを引っ張りました。 高校卒業後に10年間、会社員をしたのち、警察官の採用試験を受けました。 Q.なぜ警察官になろうと? 【浦郷恵輔巡査(28歳)】「勉強しようかなと思って。ターニングポイントじゃないですけど、変えようかなと思いまして。正直、結構しんどいです。限られた時間の中でやっていくしかないので、耐えるのみですね」 彼が「耐えるのみ」というのは、ある理由がありました。 寝食を共にし、集団生活をする警察学校。平日は敷地内の寮で寝泊まりし、土日以外は家に帰ることはできません。
【浦郷恵輔巡査(28歳)】「僕、結婚してて、28歳で子どもが2人いるんですけど」 大切にしているものが…。 【浦郷恵輔巡査(28歳)】「持ってきてくれた、上の子が。絵を描いて、『がんばってね』ってこれだけなんですけど。これは結構、精神的にもだいぶ詰められて、詰められて、怒られた中で、これ渡されて。見た時はちょっと、感極まるものがありました。自分が警察官になるためには10カ月、ここでがんばらないとだめなので。そこは腹くくって」 家族のためにも脱落できない…。そんな緊張感の中、気が休まるのは、仲間との食事の時間です。 【浦郷恵輔巡査(28歳)】「俺のやつじゃないやろ。これ変えたやろ。俺好き嫌いせえへんねん!」 「僕がこれ全部食べてたんですよ。全部食べてたんですけど、(彼は)ナスが食べれないんですよ。これ(皿を)すり替えてました。警察官としてあるまじき行為です!」 “兄貴分”として、クラスの中心的存在のようです。
■高低差ビル11階分の急勾配を走る「地獄の走訓練」
【教官】「駆け足!」 教官の声に、学生たちは「よ~し!」という掛け声を上げ、走り出しました。 これは、厳しい試練となる「走訓練」です。 走っていく学生を待ち受けるのは“根性坂”。高低差にしてビル11階分の急な坂道を、ひたすら往復するのです。その過酷さから、兵庫県警は「日本一厳しい警察学校」といわれています。 一つの部隊として、皆で走りきることが目標。しかし、脱落者が続出しました。 地獄の走訓練。「どんな状況でも犯人を逃がさない」、そんな強い気持ちが養われるそうです。 【教官 別所裕之警部補】「追いつけ、お前!合流せえ!」 隊列から離れてしまったのは、富田優稀(まさき)巡査、18歳。優等生の富田さんですが、運動が苦手です。 【学生】「がんばれ!」 富田さん、仲間たちに鼓舞され、何とか隊列に戻りました。 【教練教官 辻野祐二警部補】「逃げてる犯人、声で勝たないとどうするんや!そんなんで勝てるか!今からやぞ!駆け足!」 自分の限界を超えること、そして「あきらめない」根性を身に着けるのです。