「元の体に戻して」通院に外食や飲酒の制限…小林製薬サプリで腎障害の女性が悲痛な訴え
「元の体と生活に戻してほしい。それができないなら『被害者ファースト』に徹し、せめてもの誠意を見せてほしい」
■汚染経路など調査進む
小林製薬の紅麹サプリを巡る健康被害が深刻化した背景には製造過程での安全性軽視の企業風土があったとされる。
厚生労働省などは、サプリを製造していた旧大阪工場(昨年12月閉鎖)や和歌山工場で採取した青カビを培養し、腎障害を引き起こすプベルル酸を検出した。工場内の青カビが紅麹原料の培養段階で、何らかの経路で混入したと推定している。
今回の問題を調査した「事実検証委員会」の報告書によると、工場関係者は検証委の聞き取りに対し、紅麹タンクのふた内側に青カビが付着していたことがあった旨を証言。それを品質管理担当者に伝えると「青カビはある程度混じることがある」と回答されたという。工場内の乾燥機が壊れ、紅麹原料が一定期間乾燥されないまま放置されていたという証言もあった。
小林製薬の本社がある大阪市は今月10日、サプリの健康被害について食品衛生法上の食中毒に当たると判断。被害規模や汚染経路の特定、時期の解明のため調査を続け、年度内にも結果を取りまとめる方針だ。
日本腎臓学会の分析によると、サプリ摂取後に腎障害が出た患者の多くに、尿細管が傷つき必要成分が再吸収できなくなる「ファンコニー症候群」がみられたという。
小林製薬による厚労省への報告内容によると、サプリ摂取後に死亡したとして因果関係の調査対象となっているのは24日時点で121人。小林製薬によると、27日時点でサプリ摂取後、腎関連疾患で入院した人は延べ324人、通院した人は延べ約1500人。(木下倫太朗)