未来への生き方、考えるきっかけに 日本科学未来館が展示を大刷新
体験重視の展示施設として知られる日本科学未来館(東京都江東区)が常設展示を大規模にリニューアルし22日、一般公開を開始した。環境問題を身近なものとして捉える探究、ロボットと暮らす未来社会の探検、ゲームを通じた老化の疑似体験など、来館者が新しい科学の知見や技術を身近に感じながら、未来の社会や生き方について考える構成となった。新展示を記念し、26日まで入館料を無料としている。
「未来の社会課題、最新科学を通じ体験を」
刷新したのは、同館5階と3階の常設展示ゾーンの一部。新展示は4つで(1)海面上昇に悩むフィジーの暮らしから、私たちと環境問題のつながりをひもとく「プラネタリー・クライシス これからもこの地球でくらすために」、(2)ロボットと触れ合って最新技術を知る「ハロー! ロボット」、(3)未来の街で起こるトラブルを解決しながら、ロボットとの付き合い方を考える「ナナイロクエスト ロボットと生きる未来のものがたり」、(4)目や耳、運動器、脳の老化を疑似体験し、その仕組みや対処法を知り、老いについて考える「老いパーク」。同館の大規模なリニューアルは2016年以来、7年ぶりとなった。
一般公開に先立ち21日、報道陣に公開した。浅川智恵子館長は「今だけでなく、未来に私たちが直面するかもしれない社会課題を、最新の科学的知見を通して体験いただくよう工夫した」と説明した。新展示の特徴として(1)他の来館者と意見を共有する仕組みを設けたこと、(2)STEAM(スティーム=科学、技術、工学、芸術、数学の横断により、問題発見や解決能力の向上を狙った教育)に活用できるように制作したこと、(3)遠隔地から一部の展示内容に参加できるよう準備を進めていること、(4)一部展示に国産木材を使うなどして、サステナビリティー(持続可能性)を踏まえたこと、(5)障害のある人の意見を採り入れ改良したこと――を挙げた。
なおリニューアルに伴い、常設展示「ともに進める医療」「アナグラのうた 消えた博士と残された装置」「ビジョナリーラボ」「アンドロイド 人間って、なんだ?」は、既に公開を終了している。