【児童精神科医が解説】「どうせ自分はバカでダメだから…」親が気付けない、キレやすい子が抱える“悩みの奥底”
● CASE2「感情の起伏が激しい子」 「見捨てられ不安」による試し行動 さっき笑っていたかと思えば急に怒りだしたり、嬉しそうに見えたのに急に落ち込んでしまったりなど、感情の起伏が激しすぎて周囲とのあつれきを生んでしまう子も少なくありません。 こうした子の1つの背景として考えられるのは、「見捨てられ不安」です。常に心の中で「相手から見捨てられるのではないか」と不安を抱いては、相手の言動に一喜一憂してしまうのです。相手からそっけない態度を取られたと感じた場合、「どうせ自分なんて」と落ち込んだり、「なんで私を受け入れてくれないんだ」と怒ったり、「誰かがあの子に私の悪口を言ったのでは」と他人を疑ったりと、相手の行動次第で心が大きく揺れ動いてしまいます。 これは試し行動の一種で、相手がどの程度自分を見捨てずに受け入れてくれるのかを確かめるため、不機嫌になったり、悲しんだりして、無意識に感情を出してしまうのです。 なお、こうした試し行動を取るのは、家庭内で子どもが何らかの理由で安心して生活できず、「親に見捨てられるのでは」「自分はいらないのでは」との不安を抱いている可能性もあります。家庭内で夫婦間のケンカが増えていないか、子どもと過ごす時間がおろそかになっていないか、確認してみてください。
● CASE2「感情の起伏が激しい子」の対応策 子どもの感情変化に親は振り回されないこと 子どもの感情がコロコロ変わりやすくて不安定な場合、どのような対応策が考えられるのでしょうか。大人目線では、子どもの感情に合わせて対応を変えなければと思うかもしれませんが、それは逆効果。親が行動を変えることで、子どもは余計に混乱してしまいます。 大人にとって大切なのは、子どもの感情が変わっても、一貫した態度を取り続けることです。 子どもが急に怒りだしたり泣きだしたりといった強い感情を出したとしても、ダメなものはダメだと伝え、必要以上に叱ったりなだめたりはしないようにしましょう。 反対によい行動ができたときは、「よくできたね」「すごいね」ときちんと言葉に出してほめてあげることで、適切な行動を伸ばしてあげることが大切です。 また、不安そうに見えたり何かしら気になる様子が見られたときは、しっかりと子どもの話を聞いてあげたり一緒にいる時間を増やしたりすることで、「あなたのことを受け止めているから大丈夫だよ」というサインを送ってあげましょう。 その他、「あなたが急に怒ったり、笑ったりしているのを見て、周りの子はどう思うかな?」と質問して、気づきの機会を持たせるのも効果的です。