西九州新幹線の未整備区間、長崎県知事「一日も早くフル規格を実現したい」…長崎市でシンポジウム
西九州新幹線の武雄温泉駅(佐賀県武雄市)から九州新幹線までの「未整備区間」を巡り、フル規格での整備に向けて機運を高めるためのシンポジウムが16日、長崎市内で開かれ、約1000人が参加した。 【写真】西九州新幹線のJR長崎駅一帯。再開発が進み、新幹線がなかった頃とは様変わりした
長崎県内の経済団体でつくる「九州新幹線西九州ルート整備推進協議会」(会長=森拓二郎・長崎県商工会議所連合会長)が主催。冒頭、来賓の大石知事は「新幹線は関西圏からのインバウンドの取り込みや、災害時の輸送機能としても重要だ。一日も早くフル規格を実現したい」とあいさつした。
続いて、JR九州の松下琢磨・取締役常務執行役員が西九州新幹線の利用状況などを報告。1日あたりの利用者数が増えていることや各駅周辺の宿泊施設が順調に実績を伸ばしていることを紹介した上で、「『乗り換えが気になってくつろげない』という声もある」と課題を挙げた。
公共交通計画に詳しい大阪産業大の波床正敏教授は基調講演で、新幹線の全国ネットワークにつながれば、「新大阪駅の電光掲示板などにも目的地として表示され、存在感が増す」と話した。新幹線開業により長崎―博多間は約30分短縮となったが、乗り換えの手間を踏まえると「プラスとマイナスでゼロになる」とし、現状の常態化は望ましくないとの認識を示した。