デザインを軸にしたら「ステージが変わった」 水門メーカー3代目はアートも建築も
世界でも権威のある国際デザイン賞のひとつ「iF DESIGN AWARD」や日本の「グッドデザイン賞」など、水門メーカー「乗富鉄工所」(福岡県柳川市)が新規事業のキャンプギアで相次いで受賞しています。3代目代表取締役の乗冨賢蔵さんはデザインを軸にした経営を進めるうちに、アート系イベントや建築など新たな仕事の相談が舞い込むようになり「ステージが変わった」と実感しています。 【写真特集】下請けだけじゃない 中小企業の技術がつまった独自製品
「画期的」デザイン賞で確認する立ち位置
乗富鉄工所から2024年度グッドデザイン賞に選ばれたのが「メッシュパン」です。ステンレスを編み込んだメッシュをフライパン状にしたメッシュパンは、チャーハンや焼きそばなどをこぼさず、直火調理できるため、審査員から「調理の幅を大いに広げる、画期的なプロダクトだ」と評価を得たといいます。 世界でも権威のある国際デザイン賞のひとつ「iF DESIGN AWARD」で受賞したのは、側面から炎を見つめられる凹字型メッシュの焚き火台「ヨコナガメッシュタキビダイ」です。 乗冨さんは「プロダクトのデザイン性だけでなく、プロダクトを通してどう社会を変えようとしているのかまで評価されることが増えています」と振り返ります。そのため、エントリーするときは、ものづくりを支える職人の地位向上を目指すという目的までアピールしています。 デザイン賞に次々エントリーしている理由は2つ。まず、国内外での知名度を高めるため。そして「もう愛着がありすぎて自分たちでは客観的に評価できなくなくなっています。そこで、賞を通して、本当に社会に受け入れられるのか、日本の職人のプロダクトが海外でも評価されるのかを確かめたいと考えています」。 この2つの賞のほかにも、アジア発の国際デザイン賞「ASIA DESIGN PRIZE」やイタリア発の国際的なデザインコンペティション「A’ DESIGN AWARD 2024」などにも選ばれており、賞を羅針盤のようにして新規開発を進めています。