万葉集にも記されるほど歴史ある名湯――大正から紡ぐ湯河原温泉が楽しめる老舗旅館「富士屋旅館」とは
●万葉集にも詠まれた名湯「湯河原温泉」
寒さが厳しくなり、温泉が体に染み渡る季節になりました。日本各地にはさまざまな温泉地がありますが、それぞれに特徴があります。 【画像】「えっ…」富士屋旅館の室内を画像で見る(15枚) 温泉地として有名な場所の1つに「湯河原温泉」がありますが、どのようなスポットなのでしょうか。
湯河原温泉のある神奈川県湯河原町は、山と海に囲まれているので自然豊かなだけでなく、年間を通して比較的温暖な気候が特徴です。 湯河原温泉一帯は万葉集に詠まれるなど、良質な温泉が湧き出る場所として中世の時代から武士や村民から利用されていたようです。 さらに昭和には、竹内栖鳳や安井曾太郎などの有名な画家や、夏目漱石や与謝野晶子、国木田独歩といった文化人が訪れる有名な静養地となりました。 昔から愛されている湯河原温泉の泉質は、弱アルカリ性で、幅広い効能があると言われ、切り傷、打撲、外傷をはじめ、神経痛や腰痛、婦人病などに効果があるとされています。 さらに、湯河原には様々な旅館があります。どれも歴史があり、情緒漂うものばかりです。 なかでも、大正から名湯を紡いできた「富士屋旅館」では、他とは違う非日常感を味わうことができます。 藤木川に架かる長橋を渡ると、広い敷地に楼閣や別館が立ち並び、四季折々の自然を感じられる富士屋旅館があります。 江戸時代から前身となる温泉宿があったと言われ、明治9年にはすでに温泉旅館を営んでいたという歴史の長い旅館です。 富士屋旅館には、「洛味荘」「新館」「旧館」の3つの建物があり、それぞれに異なった味わいのある客室が用意されています。
●大正から繋いできた富士屋旅館の客室
では、それぞれの情緒ある客室はどのような特徴があるのでしょうか。 まずは「洛味荘」です。全室和室のお部屋で定員2~4名で利用できる、温泉檜風呂付き客室となっています。 旧館と渡り廊下でつながっているこの建物は、富士屋旅館の離れとして、静けさと落ち着きのある建物です。 昭和20年代に建てられたと言われている洛味荘は、かつて8室あったものを4室に改築したため、ゆったりとした造りを特徴としています。