JR北海道の「札沼線」(学園都市線)で、非電化ローカル線時代の記憶をたどりながら全駅で下車する旅
当別町に入って最初の駅、ロイズタウンは、北海道みやげの定番の一つ「ロイズ」のチョコレート工場の最寄り駅として、2022年3月に開業した。大きな窓が並ぶ駅舎は、外壁が青と白に塗り分けられ、内装には当別町の木である白樺を使用しているという。体験、見学施設やショップを併設した工場には駅から歩いても行けるが、無料のシャトルバスが運行しており、訪問時には自動運転バスの実証実験が行われていた。 いよいよ旅も大詰め。札沼線の開業時からある次の太美とその次の当別は、ロイズタウン駅の設置と同じタイミングで駅名から旧国名の「石狩」が外れた。隣接する石狩市の駅と誤認されないよう、当別町が要望していたそうだ。前回2010年の訪問時にホーム側の壁に掛かっていた「いしかりふとみ」「いしかりとうべつ」の銘板は、駅名が変わっても健在だった。当別町はスウェーデンと交流があることから、太美駅の駅舎は正面に時計台を配した北欧風の建物。当別駅は町の中心駅にふさわしく、2面3線に側線もある立派な橋上駅だった。
札幌駅を出発してから、1時間に3本程度はある列車を乗り継ぎ、一駅一駅下車しながらほぼ7時間かけて終点の北海道医療大学に到着した。1982年に仮乗降場から駅に昇格(駅名は95年3月まで大学前)、2020年5月に札沼線の終着駅となったこの駅は、変則的な2面2線の構造。新十津川方向に向かう線路には1番ホーム、行き止まりの線路には2番ホームがある。1番ホームの少し先には車止めが設置されているが、その先の廃線区間にも線路が延びていた。 駅と大学の間の道路を新十津川方向に少し歩くと、線路を横切る場所に出た。警報器と遮断機があったかは定かではないが、道路上の線路は跡形もなく撤去されていた。道路の両側に残ったさび付いた線路は、組み合わせた鉄パイプでものものしくガードされていた。「立入禁止 JR北海道」の看板が、廃線の現実を物語っていた。 ☆共同通信・藤戸浩一 札沼線の列車が発着する札幌駅11番ホームは、北海道新幹線の札幌延伸に向けた駅構内の改修工事に伴い、廃止となった1番ホームに代わって昨年10月に新設された。駅の周辺ではさまざまな関連工事も始まっており、延伸開業は2030年度の予定となっている。