「仕事辞めたいな…」そう思ったら〈転職サイト〉への登録と同時に「誰もがやるべきこと」とは【人事のプロが解説】
転職サイトへの登録は、転職すると決めてから行うものだと考えている人がいるとしたら、それは間違いです。今の時代は、転職すると決断していなくても転職サイトに登録し、市場で求められている知識・スキル・経験と自分が現時点で保有している知識・スキル・経験のギャップを把握しておくことが欠かせません。そして、転職に向けて具体的に動き出す場合には、「会社以外の居場所づくり」についても目を向ける必要があります。本記事では、木村勝氏による著書『会社を辞めたいと思った時に読む セカンドキャリアの見つけ方』(ビジネス教育出版社)から一部抜粋し、どの世代でも実行すべき転職への準備について解説します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
いち早く転職サイトに登録するべき理由
日本能率協会が2019年度の入社半年・2年目の若手社員に行った意識調査では、その半分はすでに転職サイトに登録済という結果が出ています。その反面、ミドルシニア世代は、まだまだ転職サイトには縁遠くなんとなく違和感・距離感のようなものを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 筆者自身がまさにそうでした。「転職サイトに登録すると会社に不満があることが伝わってしまうのではないか?」「転職サイトに登録して実際にオファーが来たらどうしようか?」など考え、会社を実際に辞めてから登録しようと思っていました。 こうした懸念はまったくの杞憂に過ぎません。個人情報管理の厳しい昨今、転職サイトに登録したことが会社に伝わることなどありえませんし、ましてや50歳を超えたシニアに心配するほどオファーレターが来ることなど、おめでたいことは現実にはありません。 なお、転職を支援するサービスには、「転職エージェント(人材紹介)」と「転職サイト」があります。どちらも転職活動を支援するサービスですが、その違いについて解説しておきたいと思います。 まず、「転職エージェント(人材紹介)」ですが、こちらは対人型のサービスです。多くの転職エージェントの場合、まずは転職エージェント会社へ出向き、エージェント(キャリアアドバイザー、キャリアコーディネーターなど、呼び方は会社で異なります)と個別に面談を行います。 そこで伝えた自身の経歴や希望をもとに、転職エージェントから求人が紹介されます。応募書類作成や面接の際にもサポートを受けることができるのが特徴です。転職エージェントは、転職希望者に担当のエージェントが伴走するイメージです。 一方転職サイトですが、こちらはWEBサイトを通じたサービスです。転職サイトは一般的に、さまざまな業界・職種の求人が掲載されていて、自由に検索、閲覧が可能です。数多くの求人情報を比較、検討した上で、転職サイトを通じて手軽に応募することができます。 転職エージェントと転職サイトの使い分けですが、まだ転職が具体的ではなくとりあえず転職市場の動向を感じたいという場合には転職サイトにまず登録し、いよいよX-dayが決まり、いい案件があればいつでもGO!という場合には、転職エージェントも併用されるといいと思います。 あなたが「会社を辞めたい」と思ったなら、転職サイトへの登録はデフォルトの行動になります。ハイクラス求人を紹介するビズリーチのCMに「登録者の約7割以上が市場価値を知るための利用している」とありますが、転職サイトへの登録の目的はまさにここにあります。 あなたが仕事してきた業界の求人動向や職種の動向が求人情報を浴びることで風を感じるように体感できます。転職サイトへの登録はもちろん自らの求人情報の探索という本来の目的もありますが、それ以上に重要なのは市場で求められている知識・スキル・経験と自分が現時点で保有している知識・スキル・経験のギャップの把握です。 筆者の専門分野の人事でいうと、若手を中心に雇用の流動性が高まっている今は、中途採用ノウハウを持った人材が求められていることが自然にわかります。世の中で要求されているニーズとご自身の経験・スキルにギャップがあったとしても問題ありません。 「中途採用の経験が欠けているな」と思えば、その領域の知識・ノウハウを獲得しておけばいいのです。同じ人事領域ですので、他部門の人と比較するとその領域には自然と鼻が利きます。 他職種の人に比べて「その領域に関してあたりがつき、容易に学ぶことができること」は、他の人にはないあなたの強みです。あたりがある領域に関しては、他の人に比べてスキル・知識の獲得は各段に容易です。