不安で眠れないときの対処法は?食事から睡眠環境の整え方まで【専門家にきく、快眠メソッド】
「なかなか寝つけない」「朝スッキリ起きられない」「寝ても疲れがとれた感じがしない」忙しい日々を送る中で、「眠り」に関して何かしら悩みを持っている人は少なくないのではないでしょうか。睡眠の専門家である、三橋美穂さんの著書『オトナ女子の不調と疲れに効く 眠りにいいこと100』(かんき出版)では、良い睡眠をとるために、すぐに取り入れられる100のメソッドが紹介されています。本書に関連して、三橋さんにインタビューを行いました。後編では、食事や睡眠環境の整え方、不安で眠れないときの対処法などを伺っています。 <写真>不安で眠れないときの対処法は?食事から睡眠環境の整え方まで【専門家にきく、快眠メソッド】 ■良い睡眠のための食事は? ――良い睡眠をとるための、オススメの食事を教えていただけますか。 基本は和食です。和食は脂質が少なく、食物繊維が多く、野菜もとれるという、世界を代表する健康食です。まごわやさしい(※)をポイントに、和食を中心にした食事で、朝昼はしっかり食べて、夜は軽めにするといいでしょう。 ※ま:豆類、ご:ごま(種実類)、わ:わかめ(海藻類)、や:野菜、さ:魚、し:しいたけ(きのこ類)、い:イモ類 寝る1時間前にキウイフルーツを2個食べたところ、睡眠の質が改善されたという台北医科大学の研究報告があります。キウイはビタミンCとビタミンEが豊富であるため、体の酸化ダメージを軽減する効果があるためだと考えられています。 そのため、お腹が空いて眠れないときは、キウイフルーツを食べるのがオススメです。冷蔵庫で冷えたものですと、胃腸の冷えが心配なので、50℃くらいのお湯で温めるといいでしょう。 一方、ジャンクフードは睡眠の質を低下させるというスウェーデンの研究報告があります。睡眠不足になると、脳が判断ミスを起こし、ジャンクフードが食べたくなり、食欲が高まるとも言われているので、食事の選択と睡眠には注意する必要があります。 ■寒さには要注意 ――寝具や照明などの睡眠環境は、どんなことがポイントでしょうか。 温度は、冬は18~23℃、夏は25~28℃になるようにエアコンを設定し、湿度は40~60%ですと、1年を通して快適に眠りやすいです。あとは寝具やパジャマで調整しましょう。 音は40db(図書館レベルの静けさ)以下にします。気になる音がないくらいです。 寝るときは、部屋の電気を全部消した方がよく眠れます。真っ暗で不安な場合は、まずはフットライトを試してみてください。 寝具は体にあった枕とマットレスを使いましょう。多くの方が、高すぎる枕を使っています。立っているときの自然な姿勢を再現することが枕の役割です。仰向けに寝たときに、首が伸び、リラックスできるものがオススメです。合わない枕は、首のシワ・肩こり・いびき・二重あご・ほうれい線の原因にも。 マットレスは体圧分散性と寝返りのしやすさが選ぶ基準。スリムな体型なら、やわらかめ、ぽっちゃりさんには、かためが合うことが多いです。お尻の部分はへたりやすいのですが、買い替えるまでは、タオルを使って応急処置をするといいでしょう。 ――夏は暑いのでエアコンをつけっぱなしにして寝ていましたが、冬のつけっぱなしは考えたことがなかったです。 寒い部屋で寝ると健康や睡眠に悪影響を与えることが、色々な研究からわかってきています。 温かい空気は窓で冷やされてしまうので、窓の断熱が大切です。簡単に取り入れられることとしては、窓に断熱シートを貼ったり、厚手のカーテンを長めにかけたりと、カーテンと窓の間の空気が動かないようにしてみてください。電気代が節約できます。 寝具の工夫は、電気毛布を弱めにつけたり、湯たんぽを使ったりしてお布団の中を温めるようにするといいでしょう。 ■眠れないときは「カウントダウン」 ――不安なことがあって眠れないときは、どんな対策がありますか? まず「書く瞑想」とも言われるジャーナリングがあります。紙とペンを用意し、頭の中のことを全部書き出してみてください。 数字を100からカウントダウンしながら数える方法もオススメです。この話をすると、よく「羊を数えることですね」と言われるのですが、ポイントはカウントダウンであること。数字を増やしていく方が簡単なので、雑念が浮かびやすいのです。仮に500匹までいってしまったら、朝まで眠れなかったらどうしようと、より不安になってしまいます。カウントダウンの方が集中が必要なので、頭の中が単調なことに置き換わり、そのうち退屈して眠くなってきます。 ■お風呂に入る時間を習慣化 ――先生は独立して20年以上とのことで、勤務時間が決まっていない中で、仕事に夢中になると、つい寝るのが遅くなってしまうことはないのでしょうか?生活リズムを崩さないために気をつけていることはありますか? 生活リズムを整え、睡眠時間を確保するためには、お風呂に入る時間が一番のポイントだと思っていまして、入浴時間にアラームを設定しています。アラームが鳴ったら、作業をしていても中断し、お風呂に入っています。 習慣づくりのためのアプリ「みんチャレ」では、22時までにお風呂に入るグループに入り、報告し合っています。 ――本書でも「みんチャレ」の項目がありますし、先生はみんチャレをよく活用されているのですね。 「みんチャレ愛」は強いですね(笑)。習慣化したいことのいくつかのチームに入っています。みんな匿名なので、同じチームの人がどんな人かはわかりません。ただ、チームメンバーは同じ目標を持っていて、励まし合ったり、報告し合ったりする相手がいることで、監視効果が働き、続けられる効果を感じています。三日坊主になりがちな人にオススメです。 【プロフィール】 三橋美穂(みはし・みほ) 睡眠の専門家としてキャリア28年、累計900回以上の講演・セミナー・研修の講師を務める快眠セラピスト・睡眠環境プランナー。 寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。 著書に『眠トレ! ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)ほか。テレビ番組にも出演多数。 インタビュー・文/雪代すみれ
雪代すみれ