その頭痛・めまいなどの不調、“自律神経の乱れ”が原因かも!? 「自律神経失調症」の症状・対処法を医師が解説
自律神経失調症の治療法
編集部:自律神経失調症は、どのように治すのでしょうか? 久手堅先生:まずは、その人にどのような不調が表れているのかを詳しく問診で確認します。自律神経失調症の場合、複数の症状が出現していることも多いので、例えば「いつ頃から、どのような症状が出現したのか」など、一人ひとりに合わせて病態を詳しく確認します。そのうえで、該当した症状に対処します。 編集部:症状にはどのようにして対処するのですか? 久手堅先生:頭痛なら鎮痛薬、めまいなら抗めまい薬、不眠がひどいなら睡眠導入剤や漢方薬を使うといったように、その人に合わせた治療法を提案します。それと並行して、カウンセリングなどをおこなうこともあります。 編集部:自律神経失調症は治りにくいと聞きます。なぜ、治りにくいとされているのですか? 久手堅先生:自律神経失調症の発症には生活環境が大きく関係しており、それらの改善が必要だからです。しかし実際には、症状がゼロにはならないかもしれないけれど、6~7割治れば十分ということもあります。自律神経失調症は完治を目指すというよりも、上手に折り合いをつけることが大切です。「その人の症状がいつ、どのようにして始まったか」を詳しく確認することが、症状の原因や改善策 を見つけるのに役立ちます。 編集部:原因を見つけることが大切なのですね。 久手堅先生:臨床の経験から言うと、自律神経失調症の原因で多いのは、首こりやストレートネックなどと考えられます。なぜかというと、人間は二足歩行であり、首を安定させにくいためです。自律神経の中枢は脳幹や脊髄にあり、首は自律神経の大事な通り道になっています。そのため、首が歪んでいたり、凝り固まったりしていると自律神経が正しく伝わらず、異常を起こしやすくなるのです。 編集部:その場合、どうやって治療するのですか? 久手堅先生:当院では、「自律神経失調症の原因が首にある」と診断した患者さんに対しては、マッサージやストレッチ、姿勢矯正、内服、生活指導などをおこないます。こうした治療を続けることで症状の改善や予防が期待できるので、簡単にできることからはじめてみましょう。 編集部:最後に、読者へのメッセージをお願いします。 久手堅先生:まず自分が悩んでいる症状は、本当に自律神経失調症なのか、隠れた病気がないかを確認することが必要です。自分では自律神経失調症と思っていても、もしかしたら甲状腺機能亢進症など、ほかの疾患が隠れているかもしれません。そうした疾患の可能性が除外されて初めて自律神経失調症と診断されるので、必ず適切な検査を受けるようにしましょう。その上で自律神経失調症と診断された場合には、自律神経に詳しい医師の診察を受け、きちんと対策をすることが必要です。正しく治療をおこなえば、つらい症状は高確率で改善できるため、諦めずに治療を継続してみてください。