伊集院静「身近な人の死」は残された人に何を教えてくれるのか。前妻・夏目雅子と見た花火の<苦い記憶>
◆人の死は、残った人に、ひとりで生きることを教えてくれる 一人の人間の死は、残されたものに何事かをしてくれている。親の他界はその代表であろう。 家人と彼女の両親の在り方を見ているとそれがよくよくわかる。 「時間が来ればすべてが解決します。時間がクスリです。それまでは、踏ん張り過ぎなくてもいいから、ちいさな、ごくちいさな踏ん張りで何とか生きなさい。踏ん張る力は、去って行った人がくれます。大丈夫です」 まるで宗教家か、詐欺師のような文章だが、他に言いようがない。 人の死は、残った人に、ひとりで生きることを教えてくれる。 それを通過すると、その人は少しだけ強くなり、以前より美しくなっているはずだ。 ※本稿は、『風の中に立て ―伊集院静のことば― 大人の流儀名言集』(講談社)の一部を再編集したものです。
伊集院静
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