山梨学院、惜敗 九回満塁あと一本出ず /山梨
<2019 第91回センバツ高校野球> 第91回選抜高校野球大会に出場した山梨学院は29日、秋の九州大会で優勝した筑陽学園(福岡)と2回戦で対戦し、2-3で惜敗した。一回に先制されたものの、直後に追いつき、先発の佐藤裕士投手(3年)の熱投で膠着した展開に。リードを許した終盤、1点差まで追い上げ、最終回も2死満塁と攻め立てたが、あと一本が出ず、勝利を逃した。観客からは「よく頑張った」とねぎらいの言葉が贈られた。【金子昇太、高井瞳】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽2回戦第3試合 筑陽学園 100000110=3 100000010=2 山梨学院 同点で迎えた七回、試合が動いた。6イニングを散発3安打に抑えていた佐藤投手が、3本の長短打を集められ、勝ち越しを許して力尽きた。 佐藤投手は「落ち着いて投げられた。自分の投球ができたと思う。抑えればみんなが打ってくれると思って投げていた」。スタンドで見守っていた父将人さん(51)は「よく頑張った」とねぎらった。 山梨学院は2点を追いかける八回、中前打で出塁した相沢利俊主将(3年)が、小吹悠人遊撃手(2年)の内野ゴロで生還した。小吹選手の父克直さん(47)は「1点でも取ってくれて良かった。本当はセンター前ヒットを打ってほしかったけれど、仕事はしたと思う」と息子の活躍に胸をなで下ろした。 ナインは、勝利への執念を最後の最後まで燃やした。九回、菅野秀斗二塁手(3年)と野村健太右翼手(同)の連打と、岸本捷汰一塁手(同)の死球で2死満塁とサヨナラの好機を作った。続く高垣広大三塁手(同)は初球のスライダーを強振。しかし打球に勢いはなく、最後の打者となった。 相手を上回る10安打を放ちながら、13残塁と拙攻に泣いた。初戦で2本塁打を放った野村選手はこの日も3安打を記録し、気を吐いたが「同点に追い付いてから力みが出てしまった」と反省した。 最終回1死一、二塁の場面で右飛に倒れた相沢主将も「あそこでヒットを打っていれば、サヨナラ勝ちだった。勝てる試合だったと思う。一球一球の重さを学んだ」と唇をかんだ。 センバツは敗れたが、戦いは夏まで続く。相沢主将は「甲子園で2勝することが自分たちの目標。全員で頑張りたい」と決意を新たにし、吉田洸二監督(49)は「選手の粘り、気持ちはよく続いたと思う。勝ちきれるチームにできなかったのは監督としての課題だ。相手投手の低めのボールを前半振りすぎて主導権を握れなかった。相手の方が上手だった」と総括した。 ◇力強い音色で応援 ○…山梨学院吹奏楽部が、一塁側アルプス席からナインを鼓舞した。この日は、卒業生4人を加えた計43人が応援に駆けつけ、力強い音色を披露した。 広い甲子園球場でもきれいに聞こえるよう、音を短く切るように工夫。ホルンを演奏した坂井さつき部長(3年)は「グラウンドで頑張る選手たちの後押しができるよう一生懸命演奏します」と話していた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■球音 ◇成長と課題を実感 菅野秀斗二塁手 山梨学院(3年) センバツベスト8を懸けた戦いの相手は九州大会の覇者、筑陽学園だった。「調子がいい。チームに貢献したい」と試合に臨んだが、勝手が違った。落ちる球に惑わされ、第2打席まで凡退。その後に2四球を選んだものの、得点にはつながらなかった。 センバツ初戦では「MVP級」の大活躍だった。一回に公式戦自身初となる右越え本塁打を放ち、5安打4打点と暴れた。しかし「投手陣のレベルが上がると、途端に打てなくなる」。筑陽学園戦では、好投手を前に沈黙した。 1点差を追う九回、1死走者なしで5打席目が巡ってきた。「インコースのストレートかスライダー。詰まってしまった」。それでも全力疾走で一塁に向かい、内野安打を記録。三塁まで進んだが、ホームが果てしなく遠く感じた。 「球を見極められていれば有利になっていた。まだ力が足りない」。成長と課題を実感したセンバツが終わった。【金子昇太】