企業の6割で賃上げ見込み、 賃上げ率は平均4.16%と試算
生産性をさらに高めて賃金の上昇を進めることが重要
2024年は賃金と物価の好循環が達成されるか否かに大きな注目が集まる。デフレから脱却するとともに、長く続いた非伝統的な金融政策であるマイナス金利政策の解除など、経済の正常化に向けた動きが一段と加速すると予測されている。こうしたなか政府は、政労使が一致して賃上げを行う環境を整えようとしている。 本調査によると、2024年度に賃上げを見込む企業は59.7%と、2007年以降で最も高い水準となった。特に、ベースアップにより賃上げを進めようとする企業が半数を超えており、賃金の基礎的な上昇傾向が表れてきた。2023年度の実績では企業の74.4%が賃上げを実施しており、2024年度は最終的に同年度をさらに上回ることが期待される。総人件費も企業の72.1%と7割超の企業が増加を見込み、金額ベースでも約4.32%と調査開始以降で最も高い上昇を想定している。 2024年度は賃金改善に上向きの傾向がみられるが、賃金改善が「ある」と見込む理由では、引き続き「労働力の定着・確保」が最も多く7割を超える。さらに、非正社員においても企業の約3割で賃金改善が「ある」と見込んでいた。 今後の景気回復には継続的な賃上げが欠かせない。しかしながら、とりわけ従業員数が5人以下の企業で厳しい見込みとなっており、賃上げの動きが小・零細企業へ広がるかどうかがカギを握る。国内外においてさまざまなリスク要因が山積しているが、バブル崩壊以降30年あまり続いてきた日本経済の沈滞感を払拭するためにも、生産性をさらに高めて賃金の上昇を進めることが重要となる。 調査概要 調査対象企業:2万7308社 有効回答企業:1万1431社(回答率41.9%) 調査期間:2024年1月18日~1月31日 調査方法:インターネット調査