眼窩底骨折、右肩脱臼に左ヒザ前十字靭帯断裂…度重なる怪我にも不屈の闘志 野崎渚がリングに立ち続けるワケ
高橋奈七永はSareeeの“裏投げ”で「脊柱起立筋損傷」に
さて、最近また、プロレス技の危険度が注目される騒動があった。今月2日に北海道・札幌で開催されたマリーゴールドの昼夜興行。夜の部ではワールド王者・Sareee、UN王者・青野未来の王者コンビが、林下詩美、高橋奈七永のマリーゴールド実力者コンビと対戦した際のこと。Sareeeの裏投げにより、高橋が脳天からリングに突き刺さりヒヤッとする場面があったのだ。 こちらも映像を確認したが、確かにエグい角度で脳天からリング上に落とされている。もちろんSareeeとしては故意に落としたはずがないどころか、勝手知ったる高橋に対して裏投げを繰り出した結果がそうなっただけのこと、という意識はあるだろう。 それでも高橋は出場するはずだった、その後の大会も大事をとって欠場。その後、14日に後楽園ホールで予定されたSareeeとのタイトル戦も、12月13日、新宿FACE大会に延期されることが発表された。 高橋の診断名は「脊柱起立筋損傷」だったが、高橋はすでに引退を視野に入れており、これまでの蓄積ダメージが積もり積もった結果が出た、という雰囲気なのが本当のところに違いない。 そして、実は野崎も、札幌大会の昼の部で闘ったSareeeに裏投げを食らっている。その時に感じた心境を改めて野崎が振り返る。 「あの時は、『危ねえ!』としか思わなかったですね。試合中って、自分を客観的に見れるわけじゃないので、やられている時ってわからない。でも、あ、これ絶対にヤバい。(マットに首が)刺さると思った瞬間に、いつもよりもちょっとでも首を引くとか、カラダを逃すとか対処してる感じで、あとなんとか大丈夫だったって感じだったんですけど、後で映像を見たら、ガッツリじゃねえか! って。よく生きてたなあって。あれは危ない気はしますけどね」 そこまで話した野崎は、「でも、仕方がない。食らわないように気をつけようと思います」と言葉をつないだ。非常にポジティブな物言いだった。 とはいえ、Sareeeに食らった裏投げに関しては、「ホント一瞬の出来事で、一個何かを間違えると、たぶん私は動けなくなっているだろうな」「私は裏投げで死にかけましたけど、なんとか(なった)」と野崎は言う。 そんな話を聞くと、プロレスとはつくづく危険と隣り合わせにいることを改めて感じさせられるが、試合に関しては、最前線でリングに立ち続けるのか否かによっても、けがに関する遭遇頻度は大きく変わってくるように思う。ひとつの興行のメインを任せられるのとそうではないのでは、心身面でのストレスも違ってくると考えるからだ。 野崎の場合は、過去に眼窩底骨折、右肩の脱臼や左ヒザの前十字靭帯断裂などの大けがを何度も負い、その度に一定期間、戦線を離脱している。とくに2009年6月に右肩を脱臼した際は手術→リハビリを終え、2010年8月に復帰を果たすものの、わずか1週間後に再脱臼。2011年7月に再手術を受けたが、それでも調子が悪く、2015年にまた手術と、入退院を繰り返す生活を余儀なくされた。