2024年12月のマーケットの振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
8.まとめ
【債券】 ●米国の長期金利は、トランプ政権が行うであろう経済政策が市場参加者に金利上昇リスクを意識させるため、足元の上昇した水準に高止まりする展開を予想します。FRBの利下げは、ペースは緩慢なものとなりますが、継続される見通しです。 ●欧州の長期金利は、物価上昇率の低下を背景にECBが追加利下げを継続すると想定し、緩やかに低下する展開を見込みます。 ●日本の長期金利は、日銀が金融政策の正常化路線を維持しており、追加利上げ期待を背景に上昇すると予想します。 【株式】 ●米国株式市場は、AI関連銘柄を中心に優良銘柄の業績が拡大しています。個別優良株に期待される業績は非常に高いものになっていますが、ハイテク株への期待はさらに膨らんでいます。また、新政権による金融機関に対する規制緩和効果にも期待が高まっています。米国内の個人消費が堅調に推移すれば、ハイテク株をけん引役に米国株は取引レンジを切り上げると予想します。 ●日本株式市場は、経済政策や為替相場を眺めながらの、レンジ相場を予想します。日銀の利上げと想定される円高に対する懸念が上値を抑える一方で、来年夏の参院選に向け各党が支持率を上げるために経済対策の規模を拡大方針に移行するだろう、との期待が相場を下支えするとみています。日本企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革の動きは引き続き進展しており、企業による自社株買いも期待できます。 【為替】 ●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると予想します。FRBは利下げを継続し、日銀は利上げが予想されることから、金利差が縮小し円の上昇要因になるとみています。ただし、植田総裁のコメントを読むと、利上げは後ろ倒しとなるリスクが高まっているようです。 ●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げが、日銀の追加利上げよりも大きく意識され、上昇が続く見込みです。 ●円の対豪ドルレートは、米国が緩やかな利下げに動きオーストラリア準備銀行(RBA)も追随するとみられるなか、日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇すると見ています。 【リート】 ●グローバルリート市場は、目先、米国の新政権による経済政策が米国長期金利の上昇を招くのではないかという懸念が後退するまでは、不安定な動きになる見通しです。欧州、アジアのリート市場も、各地の金利が米国の長期金利の影響を受けていると見られることから、不安定な動きを予想します。 ●少し長い目で見ると、米国リート市場では、データーセンターとヘルスケアセクターのシニアハウジングの高成長が続いています。オフィスリートはバリュエーションが相対的に割安となっており、ファンダメンタルズの改善が待たれます。欧州、アジア・オセアニアでは、景気の回復や政策金利の引き下げが期待できるため緩やかな上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善が見込まれますが、日銀の利上げ懸念が大きく、低調な取引が続く見通しです。 ※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。 ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2024年12月のマーケットの振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】』を参照)。
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