急激な円安やコロナの収束で急増! ワーホリ日本人がオーストラリアで受けているゴミ扱いのリアル
■英語力もスキルも根性もない日本人が多い 最後に、シドニーで人気の日本食レストランのシェフ、松谷朋之さんに、今のワーホリ日本人を取り巻く問題について聞いてみた。 「実は私自身も、2005年にワーホリでオーストラリアにやって来た日本人のひとりでした。それからもう20年近くこの国で暮らしてきましたが、ここ数年で日本人ワーホリの様子が大きく変わったと感じています。 まず、労働力としては完全に供給過多になっている。オーストラリアには日本人だけでなく、世界各地から多くのワーホリの若者たちが集まってきます。そもそも人が足りているお店も多いので、どんなに履歴書を持ってこられても雇いようがありません。 また、最近は円安で日本からの観光客も少ないので、昔のように日本語だけで働ける観光客向けの仕事もほとんどない。そうなると、職探しも世界中から集まる若者との競争になるわけで、英語が苦手な人が多い日本人はどうしても不利になります。 もうひとつ重要なのがスキルです。僕自身、20年前にワーホリで来たときは英語もあまり話せなかったけど、幸い日本で10年近く働いて身につけたすし職人としてのスキルがあったので、滞在1年目で正式な仕事が見つかり、労働ビザも取ることができた。 料理でも重機の運転でもなんでもいい、オーストラリアに来て仕事がしたいなら何かスキルを身につけておいたほうがいい。 そして根性......。どんなに大変でもそれを乗り越える強い気持ちがあれば、道が開けることもある。 例えば、徴兵を経験した韓国の男のコなんかは根性が半端ないですし、日本人でも看護師として働いていた女のコなんかは本当に頑張り屋です。 逆に驚きなのが、英語力もスキルも根性もない〝丸腰状態〟でオーストラリアにやって来る日本人が少なくないこと。それがワーホリ日本人全体のイメージを悪くしてしまい、きちんとした日本人たちの職探しも難しくしている。 もちろん、僕だって本音を言えば、日本人をひいきしたい気持ちはあるけれど、雇う側も裸一貫で来られちゃうと困るんですよね」 ちなみに、今回、取材した人たちは全員、本当に厳しい時期を乗り越えて次のステップに進んでいるという。 「本当につらい時期もあったけど、それも日本にいたら経験できなかったこと。その経験を自分の将来に生かしたい」(前出・マユミさん) 「若いときの苦労は買ってでもしろ」ということわざもあるし、それだけの覚悟があるならワーホリも悪くない? 取材・文/川喜田 研 イラスト/中村優介