急激な円安やコロナの収束で急増! ワーホリ日本人がオーストラリアで受けているゴミ扱いのリアル
もちろん、中にはすんなりと仕事が見つかった人もいる。昨年4月にメルボルンに渡ったカオリさん(仮名、29歳)は、履歴書をほんの数軒配っただけで、あっさり現地のユニクロの販売員に採用が決定! 仕事も楽しく、時給も労働条件も良く、それから約8ヵ月、ワーホリ生活は極めて順調だった。しかし「もう1年、この国で暮らしたい」とビザの延長を考えたときから彼女の運命は一変。 オーストラリアのワーホリの場合、ビザの有効期限は基本的に1年。2年目の延長ビザを受けるためには、「ファームステイ」と呼ばれる、地方の農場や牧場での労働や、林業、漁業、鉱山などの業種で3ヵ月間働くことが義務づけられているのだ。 「延長申請するために農園でのファームステイ先を探し始めたのですが、なかなか見つからず、ネットで見つけた中国語で書かれた募集を電子翻訳して応募しました。 なんとかブドウ農園の仕事にありついたのですが、周りはほとんど中国語を話す人たちばかりだし、賃金は摘み取ったブドウの量に応じた歩合制で収入も少ない。ただ、それより困ったのは農場にトイレがないことでした......。 トイレに行きたいときには、誰かに車でトイレのある場所まで連れていってもらうか、草むらの陰で用を足すしかなかったです(涙)。しかも、そこでは名前ではなく番号で呼ばれていました。私は『2014番』でした。 その農園から逃げ出して、次の農園が見つかったのですが、地元でもガチで農業をやってきた東南アジアからの人たちがたくさんいて。彼らとの競争で農場主に戦力外と見なされれば、いつクビになるかわからない。実際、農業経験のない私はどんなに頑張っても彼らには太刀打ちできず、あえなく解雇......。 その後、なんとか3軒目の農場で仕事を見つけ、ビザ延長の条件である3ヵ月のファームステイを終えました。今はメルボルンでアパレル系の仕事も見つかり、2年目のオーストラリア生活を楽しんでいます。ただ、今後の人生で『2014』という数字を見るたびに、あの強烈な日々を思い出しそうです」 それ以外にも「定員50人の宿舎に100人以上が詰め込まれていた」とか「一日中働いても日当5豪ドル(約500円)だった」といった声もあり、ビザ延長のためにはほかに選択肢がないワーホリ族の弱みを利用したブラックな農家が一部に存在するのは事実なようだ。 立場が弱いワーホリ族を狙う捕食者はほかにも。 「困窮する日本人の足元を見て安価で働かせるお店も多い」と語るのは今年2月からオーストラリアで暮らすマユミさん(仮名、29歳)だ。 「最低賃金が日本円換算で2400円以上と、日本の倍以上にもなるオーストラリアですが、家賃や物価も日本よりはるかに高いので、仕事が見つからない状態が何ヵ月も続くと、経済的にも精神的にもどんどん追い込まれてしまいます。 現地の日本人コミュニティサイトを見たら、職探しや家探しで困っている日本人を狙う詐欺に警戒するよう注意喚起されていました。追い詰められたワーホリ日本人はいいカモなんでしょうね」 TOEICのスコアが800点台後半と比較的高い英語力を持つ彼女も、80軒近く履歴書を配り歩いた末に日本食レストランの仕事を手に入れたものの、最低賃金以下の時給で膨大な仕事を任されるブラック雇用状態。 「それでも、この仕事を失ったら終わりだ......と、必死に働き続けていたら、だんだん『千と千尋の神隠し』の千尋みたいな気持ちになってきて」と苦笑する。 「求職中の日本人なんていくらでもいるから代わりはすぐに見つかるって考えで、最低賃金未満でブラックに働かせるんでしょうね。とあるお店では、日本人が配り歩いた大量のレジュメが机に束になって放置されていましたよ」