自分を「見せる」コスプレ、SNS普及で抵抗感なくなる…レイヤーは全国に数十万人か
アニメや漫画、ゲームなどのキャラクターになりきって姿を変える「コスプレ」が人気を集めている。マニアックな趣味の世界という扱いを受けることが多かったが、「コスプレイヤー」向けイベントが各地で開催されるなど市民権を得つつある。 【写真】競馬場で「ウマ娘」コスプレイベントも
「レイヤー」人気イベント続々
9月下旬、千葉県で開かれた日本最大級のゲーム見本市「東京ゲームショウ」の会場には、多彩なキャラクターに扮(ふん)した「レイヤー(コスプレイヤー)」たちの姿があった。
その一人、米国出身の東京都杉並区の会社員、フェア・テイラーさん(32)は、人気ゲーム「ダンガンロンパ」シリーズのキャラになりきってポーズをとり、写真撮影に応じていた。身にまとう衣装や小道具は手作りで「最初は恥ずかしかったが、今では大好きなキャラになりきった自分を撮ってもらえることが楽しい」と話す。
レイヤーは全国に数十万人いるとされ、普段は別の仕事を持ち、趣味として活動する人が多い。近年は愛知県で毎年開かれる「世界コスプレサミット」のように、観光や若者の誘客を目的に、行政や商店街などが主催するイベントも増えている。
イベント運営会社「ハコスタ」(大阪市)は、コスプレイベントを年間100日以上開催し、動員数は約20万人に達する。担当者は「若者の間でレイヤーに対する『推し活』が広がっている。コスプレをせず、レイヤーに会うために、イベントを訪れる人も多い」と話す。
コスプレの歴史をひもとけば、日本には古くから民衆が仮装して祭りに参加する風習があった。江戸末期には、若者たちが奇抜な格好をしたり、踊ったりしながら練り歩く「ええじゃないか」が流行した。
社会学者の見田宗介氏は著書で「ええじゃないか」を「日常性の枠組みからの脱出への欲求であった」と指摘しており、現代のコスプレにも通ずるように思える。
コスプレが日本で広まるきっかけになったのは、1970年代に始まった同人誌即売会「コミックマーケット」での仮装とする説がある。