自分を「見せる」コスプレ、SNS普及で抵抗感なくなる…レイヤーは全国に数十万人か
ただ、同調圧力の強い日本社会にあって、奇抜な服装の若者に眉をひそめる「大人」は多く、長らく一部愛好家の趣味と受け止められてきた。
転機となったのは、2010年代から普及した、インスタグラムやX(旧ツイッター)といったSNSだ。
ポップカルチャーに詳しい近畿大の岡本健教授は「若者の間でSNSによる『映え』が意識され、写真を加工して公開することが普通になった。いろんな自分を『見せる』ことに抵抗感がなくなってきているのかもしれない」と話す。
コスプレ人口の拡大を受け、ユニークな関連ビジネスも生まれている。18年に登場したコスプレに特化したオーダーメイドサービス「narikiri(ナリキリ)」もその一つだ。
コスプレは衣装を手作りして臨むか、既製品を購入するのが一般的だったが、手作りは個人の力量に左右されやすく、既製品は人気キャラに偏る。
ナリキリは、オンライン上で、コスプレに使う衣装や武器などがほしいレイヤーと、こうした道具を作る技術を持ったクリエイターをマッチングする。
取引の単価は1回6万~7万円程度で、100万円前後に達したこともある。運営する「オタクラウド」(大阪市)の茶木盛暢社長は「海外でも『コスプレ熱』が高まっており、ニーズが見込める」とみる。
アニメ、漫画、ゲームと世界で支持される日本のソフトパワー。コスプレが柱の一つに「変身」する日も遠くないだろう。