まずやるべきことは?相続が発生した場合の具体的な遺産手続き方法を弁護士が解説!
家族が亡くなった後、法要などのやるべきことが落ち着いたら、遺産の相続手続きに対応する必要があります。 【グラフ9枚】相続手続きで大変だったことTOP3、3位時間がとられた、2位必要な書類が多い、1位は?相続に関する調査結果をグラフで全部見る! 遺産相続の手続きは多岐にわたりますが、大まかな流れを把握しておけば、戸惑いを最小限に抑えられるでしょう。 本記事では、遺産分割の一般的な流れを解説します。相続手続きの全体像を知りたい方は、本記事を参考にしてください。
1. 遺産分割の手続きの流れ
遺産分割の手続きは、以下の流れで行うのが一般的です。 STEP1|遺言書の有無を確認する STEP2|相続人を確定する STEP3|相続財産を確定する STEP4|遺産の分け方を話し合う(遺産分割協議) STEP5|遺産分割協議書を作成する STEP6|遺産の名義変更を行う STEP7|相続税の申告を行う 1-1. STEP1|遺言書の有無を確認する 遺言書が存在する場合は、原則としてその内容に従って遺産を分ける必要があります。そのため、まずは遺言書の有無を確認しましょう。 遺言書は亡くなった人の遺品として保管されているケースが多いですが、公証役場や法務局で保管されている場合もあります。最寄りの公証役場や法務局に問い合わせるなどして、遺言書を見落とさないように注意しましょう。 遺言書がなかった場合、または遺言書によって分け方が決められていない遺産がある場合には、STEP2に進みます。 1-2. STEP2|相続人を確定する 遺産分割協議に先立ち、相続人全員を確定する必要があります。 相続人は、大まかに以下のルールで決まります(細かい点は割愛します)。 (1)配偶者は常に相続人となる (2)子は常に相続人となる (3)直系尊属(両親など)は、相続人である子がいない場合に限り相続人となる (4)兄弟姉妹は、相続人である子および直系尊属がいない場合に限り相続人となる (5)子または兄弟姉妹が相続発生前に死亡している場合は、さらにその子が相続人となる(代襲相続) 相続人の確定は、戸籍謄本などを取り寄せた上で行うのが原則です。 相続人が誰であるか明らかな場合は省略することもありますが、確実を期すためには、戸籍謄本を取得して相続人を確認することをおすすめします。 1-3. STEP3|相続財産を確定する 相続人に加えて、遺産分割の対象となる相続財産を確定することも必要です。 被相続人が生前に所有していた現金・預貯金・有価証券・不動産・自動車・貴金属類などを漏れなく把握し、財産目録にまとめておきましょう。 1-4. STEP4|遺産の分け方を話し合う(遺産分割協議) 相続人と相続財産を確定できたら、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。 円満に遺産分割の合意を得るためには、時には妥協も必要です。ご自身の中で優先順位を付けて、譲ってもよい部分と譲れない部分を区別し、建設的な話し合いができるように努めましょう。 1-5. STEP5|遺産分割協議書を作成する 遺産分割の合意が得られたら、その内容をまとめた遺産分割協議書を締結します。 遺産分割協議書には、誰がどの遺産を相続するかを明確に記載することが大切です。また、末尾に相続人全員が署名し、それぞれの実印(印鑑登録されたもの)を押印しましょう。 1-6. STEP6|遺産の名義変更を行う 遺産分割協議書の内容に従い、遺産の名義変更を行います。 現金や通常の動産は引渡しのみで足りますが、預貯金については金融機関での相続手続き、不動産については相続登記手続き、自動車については登録変更手続きが必要になります。 特に不動産の相続登記は、遺産分割による所有権の取得から3年以内に手続きを行う必要があるので、早めに対応しましょう。 1-7. STEP7|相続税の申告を行う 相続財産などの総額が基礎控除額(=3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えている場合には、相続税の申告が必要になります。 また、小規模宅地等の特例や配偶者の税額の軽減の適用を受ける場合にも、相続税の申告が必要です。 相続税の申告は非常に煩雑なので、税理士などのサポートを受けるとよいでしょう。 後編では、遺産分割協議がまとまらず揉めてしまった場合の手順を解説していきます。 取材・文/阿部由羅(弁護士) ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。 https://abeyura.com/ https://twitter.com/abeyuralaw
@DIME編集部