受験で予想外の不合格...10代が挫折を乗り越えるための禅の言葉
「この学校にご縁があった」と考えよう
ベトナム戦争で平和と人道活動に尽力したティク・ナット・ハンという禅僧がいます。詩人としても活躍した彼の作品の中に、「一枚の紙に雲を見る」という詩があります。 「もしあなたが詩人であるなら、この一枚の紙に雲が浮かんでいることをはっきり見るでしょう。雲なしに雨はありません。雨なしに樹は育ちません。そして、樹々なしに紙はできません。ですから、この紙の中に雲があります。この1ページの存在は、雲の存在に依存しています...」 世の中はいろいろなものが自然に生かしあって存在しているということがこの詩から読みとれます。これを仏教の言葉で「縁起」と呼びます。一般的に「ご縁」のことです。 自分はこの学校に通うご縁があったのだ。ここで仲間たちと出会い、たとえトラブルや失敗に見舞われたとしても、みんなでそれを解決していく。そうやって自分をいちばん成長させてくれるのがこの学校だ。そんなふうに、前向きに受け止め学べたら幸せですね。 できれば、受験をする前からこの心構えを持ってしまうのはどうでしょう。合格したところがいちばん自分に向いている学校なのだと。だからどこも第一希望のつもりで受験するのです。 どんな学校にも、偏差値以外にいいところはあるものです。学食がおいしいとか、体育館が広いとか、図書室がきれいとか、制服がかっこいいとか、いいところを見つけようと思えば一つや二つあるでしょう。 さすがに一番行きたいところを優先に試験のスケジュールを立てる必要があると思いますが、どこに行くことになってもご縁なのだ、主人公は自分なのだと思って受験に臨めたら最強ですね。
石井清純(監修),水口真紀子(編著)