食事中の“姿勢”にまで目配り…命を失うこともある園児たちの『誤嚥』離乳食に細心の注意を払う保育の現場
調理は8時半ごろから始まり、人参や小松菜などの具材を細かく切っていきます。 葉物は、切ったときは小さく見えますが、口の中で広がるため、見た目よりも細かく丁寧に切り、春雨など細長い食材にも気を配るといいます。 調理員: 「(細長い食材が)喉に引っかかった状態で他の物を食べて、喉の気道が狭くなる、それがきっかけで他の物が喉に詰まったりする」 注意が必要なものは、再度広げるなどして確認をします。
煮る工程では「硬さ」がポイントです。キャベツは、芯に注意。目視の確認はもちろん、必ず調理師自ら食べます。イメージは箸やスプーンでスッと通るやわらかさです。 この日の炒めものはマーボー豆腐です。奥歯が生え切っていない乳児のため、歯茎だけでも安全に食べられるよう、使う豚肉のミンチの調理にも細心の注意を払っていました。 調理員: 「大きい鍋に広げて、塊肉がないかチェックしながら炒める。本当に詰まらせちゃったら怖いので」
調理を始めておよそ2時間、料理ができたあとは「検食」が行われます。 保育士が「検食」し、味の濃さや食材の硬さなどを確認します。 保育士: 「春雨が入っているんですけど、長いものがないかなとか、スープはエノキもやっぱりこの短さがいいなと」
情報は毎日記録して、次回への反省や次の献立へ反映しているといいます。
■食べさせるときは量だけでなく“姿勢”にも注意
そして実際に子供たちに食べさせるときは、0歳と1歳児混合のクラスでは成長にあわせて、保育士1人で子供1~3人ほどに食べさせています。 スプーンで食べさせる場合は、3分の1から半分くらいの量をすくって食べさせていました。 詰め込み過ぎないように注意が必要な子供に対しては、目の前に置いた取り皿とは別の皿を保育士が使い、料理を取り分けたうえで、少しずつ取り皿に置いていきました。 また、食事中の姿勢にも、保育士は注意していました。 保育士: 「姿勢が悪くて首が曲がってしまったりだとか、体の向きが横に向いていたりすると怖いので、なるべく『まっすぐ』を意識していますね」 食事の場には、料理を作った調理員もいました。 調理員: 「これくらいの刻みでいいかなとか、食べにくくないかなとかをクラスの担任と相談しながら共有している」 この日の食事にかかった時間は45分。子供を預かる保育の現場では、調理員や保育士の細やかな気配りや工夫がありました。
そして、それでも万が一危険な状態になったときに慌てず助けを呼べるように、園の電話の下には、住所や意識や顔色など必要な情報を的確に伝えられるようメモを貼って備えていました。 2024年11月22日放送