ソニーがホンダと開発のEVは「走るショーケース」 CES 2025で「エンタメ総取り」を打ち出した十時社長の本気度
■勝ちパターンを再現できるか この勝ちパターンを映画やアニメ、ゲーム、スポーツの領域へと広げ、さらにそれぞれの事業ごとに行っていたIP展開をセグメントの壁を越えて行う。それにより付加価値を高めることが、ソニー首脳陣の狙いというわけだ。 昨年12月に発表した出版大手KADOKAWAへの追加出資もその一環だ。約500億円で同社株を追加取得して約10%を握る筆頭株主になった。これまで弱かったIPの創出機能を補うことで、ソニーが得意とする育成や展開の機能をより効果的に活用することができる。
もっとも、あるエンタメ事業の関係者からは「財務畑出身の十時さんが考えるほど、狙いどおりにヒット作を生むことはできない。シリーズものばかりのつまらないコンテンツだらけにならないかが心配だ」という声も聞こえてくる。 アニメや映画、ゲームなどそれぞれの事業領域で勝ちパターンは異なる可能性が高い。勝ちパターンの発見には相応の試行錯誤が必要なのも事実だろう。それでも自社を「クリエイティブ・エンターテインメント・カンパニー」と形容した十時社長に引き返すつもりはなさそうだ。
ソニーにとって2025年度は、2026年度までの中期計画の2年目に当たる。十時社長の舵取りで将来の稼ぎの種となるコンテンツの育成にどこまで手をつけることができるか。CESで始動した「十時ソニー」の2025年。次の成長に向けた大事な1年になる。
梅垣 勇人 :東洋経済 記者