ソニーがホンダと開発のEVは「走るショーケース」 CES 2025で「エンタメ総取り」を打ち出した十時社長の本気度
クランチロールはすでに全世界で1500万人の会員を抱えており、コミックスへの展開で会員獲得をさらに加速したい考えだ。 プレスカンファレンスでは、ソニーとホンダの合弁会社ソニー・ホンダモビリティの会長兼CEOの水野泰秀氏もプレゼンを行った。 そこで明らかにしたのが、同社が開発に取り組むEV(電気自動車)である「AFEELA」(アフィーラ)の先行予約開始と価格だ。 まずアメリカ・カリフォルニア州の住民向けに先行予約を開始した。価格は基本モデルで8万9900ドル(約1420万円)と強気の設定だ。
今後はアメリカ市場で順次販売網を拡大し、2026年中旬から納車が始まる。日本国内でも購入できるようになる見込みだが、時期はまだ未定としている。 アフィーラではソニー自身が手がけるプレイステーションやクランチロールはもちろん、Web会議サービスのZoomやカラオケなど、社外のさまざまなエンターテインメント関連サービスを車内で利用できる仕組みが整っている。 ■「走るショーケース」のアフィーラ プレイステーションやエクスペリアの開発に携わってきたソニー・ホンダモビリティの川西泉社長は、「IPも含めソニーが持つさまざまなアセットの出口の1つとして、モビリティーとの親和性は高い」とアフィーラの位置づけについて語る。
アフィーラは車載OSに、グーグルが提供する車載情報機器向けOSのアンドロイド・オートモーティブを採用している。同じOSを搭載する他社のEVに対しても技術供与などの形でアフィーラのエンタメ機能を提供していく可能性について聞くと、「ご要望があれば考えたい」(川西氏)と否定しなかった。 十時社長は昨年5月に開いた経営方針説明会で、「クリエイティブ・エンターテインメント・ビジョン」という新たな長期目標を掲げている。
これは、ゲーム、音楽、映画、アニメ、スポーツの5つのエンターテインメント領域について、それぞれをIP(知的財産)の「創出」「育成」「展開」の3段階に分けて考え、成長させていこうというコンセプトだ。 この「育成」の中でモビリティー(移動体)は、「境界を超えてIPを拡張する」対象の1つとして位置づけられている。ソニーにとってのアフィーラは、自社のIPやそれを支える技術のショーケースとしての意味合いがますます濃くなってきている。