ソニーがホンダと開発のEVは「走るショーケース」 CES 2025で「エンタメ総取り」を打ち出した十時社長の本気度
ソニーが目指すのは、ゲーム、音楽、映画、アニメ、スポーツというコンテンツの垣根を越えて、IPの創出という“上流”から、多面展開という“下流”まであまねくエンターテインメントを手がけることだ。 エンターテインメント「全方位戦略」ともいえるこうした戦略を推し進める背景には、安定的で持続的な成長を目指すストック収益重視の姿勢が透ける。 ソニー自身が「クリエイション・シフト」と呼ぶ一連の流れの原点には、EMI ミュージック・パブリッシングでの成功体験がある。ソニーはこの音楽出版社大手を2018年11月に子会社化した。音楽事業の営業利益はその後、ゲームや映画事業と比べて安定した成長が続いている。
安定成長を支えるのは、スポティファイやアップルミュージックなどの音楽ストリーミングサービスの存在だ。同サービスは、楽曲が再生されるたびに一定の楽曲使用料が権利者に支払われる仕組みになっている。 EMIはソニーが買収した当時から「クイーン」や「キャロル・キング」「カニエ・ウェスト」など、幅広いアーティストの楽曲約200万曲超の著作権を保有・管理していた。 有名アーティストの楽曲は発売から時間が経っても再生され続ける。そのため初期費用さえ負担すれば、リスクを負うことなく稼げるビジネスモデルになっている。
ソニーはその後も精力的に楽曲カタログの買収を続けている。直近でもイギリスのロックバンド、ピンクフロイドの楽曲に関する権利を取得したと報じられている。 楽曲に関する権利の取得に加え、アーティストの発掘から育成、グローバル展開まで、自社で完結することができる能力を培ってきた。日本国内ではYOASOBIの成功が典型例だ。海外でも南米などで積極的なアーティスト発掘活動を行っているという。 アメリカのCBSとの合弁で日本国内にCBS・ソニーレコード(現在のソニー・ミュージックエンタテインメント)を立ち上げたのは1968年。以来、50年以上にわたって取り組んできたエコシステム作りの成果が、今日の音楽事業の成功に表れている。