7話考察『海に眠るダイヤモンド』苦渋の決断をする鉄平(神木隆之介)の凄まじい表情!
非常事態発生!炭鉱に支えられている端島の坑内でガス爆発による事故が……。日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS 毎週日曜よる9時~)7話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。
非常事態になってわかる外勤・鉄平の存在価値
「その時代、その場所」ならではの歴史を感じる状況、一人ではどうしようもできないほどスケールの大きなできごと、そして映像の迫力。7話はいわゆる「日曜劇場」らしさの詰まった1時間だった。 これまで、端島ならではの状況はたびたび描かれていたものの、鉄平たち端島で暮らす人々の気持ちの動きに重点が置かれていたこともあって、この島を支える炭鉱の過酷さに対する意識は薄れていた。そこへきて7話で突如起きたガス爆発による火災。否応なしに、この島が寄って立つ存在がいかに危険と隣り合わせかを知らされることとなった。 端島で生まれ育ち、大学で長崎へと出たものの、端島をよりよくしたいと島に戻って鷹羽鉱業に就職し、「外勤」として鉱員たちを支える立場の鉄平(神木隆之介)。これまで、会社側として父・一平(國村隼)や兄・進平(斎藤工)らを含む鉱員と対立する立場に立たざるを得なくなることもあった。また、危険を冒して海底炭鉱で採掘を行っている鉱員に比べ、外にいる自分は役に立っているのかという疑問、「外で待っているのがもどかしい」という気持ちを常に持っていた。 火はなかなか消えず、火災区域を密閉しての消火もあえなく失敗。非常事態のため、一般鉱員が締め出された坑内に職員として入っていた鉄平は、炭鉱の深部区域の水没放棄、つまり海に沈めるという炭鉱長・辰雄(沢村一樹)の決断を聞かされる。長崎の高島炭鉱から手伝いに来ていた職員の「私は高島の人間です。私が終わらせるんでよかとやろうか」の言葉からは、日本各地の炭鉱で、それぞれ鉱員たちが命がけで石炭を掘っていたこと、そのプライドを職員も痛いほどわかっていたことが伝わってくる。 鉄平が職員に訥々と炭鉱長の決断を伝えるとき、そして排水ポンプを止めるときの神木隆之介の表情が凄まじかった。端島がこれからもっといい島になると希望を抱いていた鉄平が、自ら島を終わらせることになってしまった苦渋がその顔に満ちていた。 ただひとり、進平が坑内から戻ってきていないことに気づくのが遅れたのは、非常事態による混乱もあるだろうが、いつも外勤として鉱員たちの出入りを確認していた鉄平がそこにいなかったせいもあるのではないだろうか。外勤として鉱山の外から鉱員たちを案じる鉄平は、きっととても大事な存在だったのだ。