「平成の米騒動とは異なる」令和を襲った米不足のワケ、9月以降は好転するのか
米が品薄状態になっている。小売店の8割で品切れが発生しているとされる大阪府は8月26日に農林水産省に対し、政府の備蓄米を流通させるよう要望した。 【写真】「米騒動」でガラガラになってしまったスーパーの米売り場
「令和の米騒動」
米の収穫量を示す作況指数(平年=100)は、令和5年産米は101と平年並みで、平成の米騒動を招いた平成5年産米(作況指数74)に比べても凶作とはいえない状況なのに、なぜ「令和の米騒動」といわれるほど品薄なのか。経営コンサルタントの平野敦士カールさんによると、 「作付面積の減少が理由のひとつとして挙げられます。作況指数とは単位面積当たりの収穫量を示すものですので作付面積が減れば生産量は減ってしまいます。作付面積が減った原因としては、日本政府の減反政策(1971年から2018年まで約50年継続)、農家の高齢化や後継者不足により、耕作放棄地が増加していること、農地の宅地や商業用地への転用により、農地面積が減少していることが考えられます。 農林水産省の統計によると、水稲の作付面積は令和5年産で134・4万ヘクタールで、前年の135・5万ヘクタールから減少。令和5年産の米の生産量(概数値)は716・6万トンで、前年の727・0万トンから減少しました。 また、日本の米の海外需要が高まり、米の輸出量が増えています。日本の米はアメリカにも輸出されており、2023年のデータによると、日本からの米の総輸出量は前年比29%増の約3万7186トンですが、アメリカ向けの輸出は前年比54%増の6883トンに達しました」
8月8日の南海トラフ地震臨時情報も、米の買い占めをさらに加速させた。 米の品薄状態に対して、消費者はどのように対策を立てればよいだろうか。
“米不足”今後の見通し
「パックご飯や雑炊などの加工米製品は、米不足の影響を受けにくく、安定した供給が期待できます。従って、米不足が懸念される中で、これらの商品は便利な選択肢となります。さらに、パックご飯は長期保存が可能で、災害時の備蓄食品としても適しています。パスタ、パンやうどんなど、他の主食を取り入れたり、少量の米でもおいしく食べられるよう、炊き込みご飯など炊き方を工夫するのもよいかと思います」(平野さん、以下同) 武村展英農林水産副大臣は「新米は9月までに年間出荷量の4割程度が出回る。品薄は順次、回復していく」と語るが、9月になれば品薄状態は改善されるのだろうか。 「9月から10月にかけて日本の主要な米どころで新米の収穫が始まります。新米の出荷開始により減少していた米の在庫が補充され、市場全体の米の供給量が大幅に増加します。また新米シーズンになると、流通業者や小売店が積極的に仕入れを行い、店頭に並ぶ米の量が増える。新米の供給増加により、一時的な需給の逼迫状況が緩和されると予想されます。また政府やマスコミも買い占めなどが起きないように正しい情報を伝えることも重要です」 パニック買いを控え、落ち着いた消費行動が重要だ。