ヤクルトD5位・矢野泰二郎、異例の敵チーム出場でアピール 高津臣吾監督「いいものを見せてもらった」
ヤクルトは10日、独立リーグ、四国アイランドリーグplusの愛媛と練習試合を行い、3-4で敗れた。ヤクルトからドラフト5位で指名された愛媛の矢野泰二郎捕手(22)は、所属チームの「3番・捕手」で先発出場。一回に右前打を放ち、守っては三回に盗塁を阻止した。三回裏の守備で退いた中、異例の〝超速アピール〟を決めた。 【写真】温泉に入る山田哲人ら 絶好のアピール機会をものにした。実力を示したい相手は、敵チームのベンチに座っている。異例ともいえる状況で四国IL愛媛の矢野が攻守で躍動。来年ヤクルトに入団すれば指揮官となる高津監督の前で存在感を示した。 「緊張して思っているように体が動かなかったのですが、その中でヒットも出て盗塁も刺せた。結果もそれなりに残すことができたのでよかったです」 最初の見せ場は一回の攻撃だ。1死二塁で右打席に立つと、「初球から振っていこうと思っていた」と今季3勝を挙げた左腕の山野から右前打。スタンドの観客が「矢野選手って来年からヤクルトに入るんだよね」などの会話を繰り広げてざわつく中で、いきなり好結果を残した。 三回の守備では愛媛を四国IL年間総合優勝に導いた正捕手としての実力を発揮した。1死一塁で、一走の西村が試みた盗塁を阻止。二塁送球1・8秒の強肩ぶりを示した。三回の守備を終えたところで交代となる中、仮契約前に〝超速アピール〟を決め、「短いイニングで出ると、弓岡監督に言われていたので、しっかり準備して臨めた」とうなずいた。 三塁ベンチからプレーを見ていた高津監督は「いいものを見せてもらった」と笑顔。「彼だけでなく、新しく入ってくる選手は本当に期待して待っている。すごく楽しみ」と話した。「チームからの信頼を得て、試合に出続け、勝てるキャッチャーになりたい」との青写真を描く22歳が、早くも秋の松山でその名を印象付けた。(武田千怜)