「よりよいコンテンツを作ることだけでなく、どうやって届けるかを必死に考えなければならない」: ジェイ・キャスト 蜷川 聡子 氏
2023年はAIの年だった、と言っても過言ではないだろう。この新しいテクノロジーの出現と急速な発展は、拡大と変化と混乱が相まって形作られている、デジタル領域を象徴するような存在にも感じられる。 一方で、デジタルの未来は不透明だ。市場におけるすべてのプレイヤーが、先の見えないなかでいかに足場を固め、次のステップへと進めるのか模索を続けている。DIGIDAY[日本版]恒例の年末年始企画「IN/OUT 2024」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブや次世代リーダーに2023年を振り返ってもらい、2024年に向けてどのようなチャレンジを企図し、次なる成長を実現しようとしているのか伺った。 株式会社ジェイ・キャストにて、取締役・企画営業事業本部 本部長を務める蜷川聡子氏の回答は以下のとおりだ。
──2023年に挙げたもっとも大きな成果はなんですか。
大きな成果と呼べるようなものは残念ながら思いあたらず、反省しています。敢えて言うなら、インターネットメディアの環境が変化していくなかで、次の課題がよく見えるようになったことでしょうか。比較的大きく舵を切る勇気をもらったのかもしれません。
──2024年に向け見えてきた課題はなんですか。
2021年からこの年末年始の企画で「自らコントロールできない流通をメインにしたくはない」と書きつつ、やはり大きな流れのなかに居続けてしまいました。2023年は多くのニュース系メディアがGoogleの検索のアルゴリズム変更の影響を受けたと聞いています。 私は、インターネットメディア協会のメディアリテラシー部会に所属しているのですが、その活動のなかで、高校生たちの「自分たちの考える理想のメディア」の発表を聞く機会がありました。若者がどのような内容のコンテンツやメディアを求めているのかを聞けると期待していたのですが、ほとんどのグループが自分たちの欲しいものや必要なものだけを効率的に見ることができる「機能」を欲していました。 高校生たちは、インターネットには既に扱いきれないくらい多くの情報が溢れていると感じており、新たに欲しいコンテンツなどはほぼ無く、取捨選択だけで忙しいようでした。私たちはよりよいコンテンツを作ることだけでなく、どうやって届けるかを必死に考えなければならないようです。