「裸で川に入るよう指示」部下を溺死させた上司に“重過失致死”の疑い “殺人”との明確な違いとは
”前科”は量刑に影響を及ぼすのか
ーー容疑者は過去に被害者に対し、蹴りや頭突きなどをして2度逮捕されているそうです。この辺りを考慮して、量刑に影響がおよぶ可能性はあるのでしょうか。 堀田弁護士:影響を及ぼす可能性は高いと思います。 ーー仮に5年以下の懲役を経て社会に戻ってきても同じことを繰り返す可能性も考えられます。例えば遺族の方等がより重い罪に問いたい場合、その余地はあるのでしょうか。 堀田弁護士:難しいかと思います。遺族の方が責任追及するのであれば刑事ではなく、民事になるかと思います。 ーーネット上では「企業名も公表しろ」などの声もあふれています。弁護士として、このようなケースの場合、どのように罪を償うのが適切だと思われるでしょうか。 堀田弁護士:まずは適切な刑事処分を受けることです。そのうえで、遺族からの民事的な請求に応じることかと思います。 なお、「企業名を公表しろ」は単にネット上で被疑者だけでなく会社もたたきたい方が言っているだけだと思います。企業名を公表することが被疑者の被害者に対する償いにはつながらないと私は考えます。 企業は企業で被疑者と被害者の関係を知ったうえで暴力行為等を黙認していたのであれば何かしら法的責任が生じる可能性はあると思います。しかし、それは本件とは別の問題です。またかつ、遺族と企業との間の問題ですので、あえて公表して部外者からの企業に対する抗議等を積極的に促す必要はないと思います。
弁護士JP編集部