「どんな育ちをしたって、100歳になればひとりぼっちですよ」佐藤愛子が“わがままに生きる”理由【草笛光子で映画化】
『九十歳。何がめでたい』が映画化、主演は草笛光子さん
17年に年間ベストセラー1位になったエッセイ『九十歳。何がめでたい』が映画になり、6月に全国公開される。佐藤さん役を演じるのは、草笛光子さん。 あんなものを映画にしたって、面白くもなんともないですよ。草笛さんとは何十年も前に、一度対談しました。その時が初対面でしたが、ここまでしゃべっていいのかなというくらい、別れた芥川也寸志さんの悪口の連発でした(笑)。私より10歳下ですよ。 今回出ていただくので、また1回だけ会いました。一昨年、帯状疱疹で寝たきりみたいになって、足が弱りましたが、その前でしたので出かけていって一緒に食事をしたんです。足が弱って寂しくなりました。来ていただく以外、ないですから。 映画の予告動画を見ると、現実の佐藤さん宅にそっくりな光景が映る。庭を眺めるゆったりした椅子も、アンティーク調の電話も……。 松竹の人がここに来て、いろいろ写真を撮っていましたから。この椅子はできあいのものですから、いくらでも売っているんじゃないですかね。電話は下北沢を散歩してた時に見かけて、面白いから買ったのね。
生まれた時からずっと犬と一緒だった
予告動画の最後に柴犬が映る。佐藤さんのエッセイの常連、ハナのイメージぴったりだ。そう言うと、「ハナ?」と明るい表情に。予告動画をスマホで見てもらった。 あら、なかなかいいわ、草笛さん。わざとらしくなくてね。ハナは庭にいて、ずっとこっちを見てました。私は生まれた時からずっと犬と一緒だったので、いない方が珍しいんです。ハナが死んでからはいなくて。 話していると、最後に柴犬が「わん」。 あら、かわいい。どこの犬だろう。きっと犬屋さんで借りたんですよね。もらってこようかしら。名犬ね、きっと。 ●生年が同じだった司馬遼太郎さんや、中山あい子さん、川上宗薫さん、遠藤周作さんとの思い出、五木寛之さんに呆れられたという北海道の別荘での“臨戦態勢”のエピソード、娘の杉山響子さんと孫の杉山桃子さんが対談する「作家の佐藤愛子と生身の佐藤愛子」など、全文は 『週刊文春WOMAN2024夏号』 でお読みいただけます。 聞き手・文 矢部万紀子 写真・文藝春秋 さとうあいこ/1923年大阪府生まれ。甲南高等女学校卒業。1969年『戦いすんで日が暮れて』で第61回直木賞、2000年、65歳から執筆を始めた佐藤家3代を描く『血脈』の完成により第48回菊池寛賞受賞。2017年旭日小綬章を受章。 INFORMATIONアイコン映画『九十歳。何がめでたい』 90歳の草笛光子が、エッセイが反響を呼んだ90歳当時の佐藤を演じた。全国公開中 Ⓒ2024映画「九十歳。何がめでたい」製作委員会 Ⓒ佐藤愛子/小学館 配給:松竹
矢部 万紀子/週刊文春WOMAN 2024夏号