悩める“激闘王”の八重樫東が4階級制覇を狙い現役続行へ
プロボクシングの元IBF世界ライトフライ級王者の八重樫東(34、大橋ジム)が25日、現役続行へ前向きの考えを明らかにした。八重樫が5月の防衛戦で1ラウンドTKO負けを喫した後に“引退勧告”をしていた大橋秀行会長は、「体が大事。冷静に考えろ」と結論を保留したが、スーパーフライ級で、日本人初の4階級制覇を狙う再起プランも練られている。 この日、大橋ジムは、クラウドファウンディング(MAKUAKE)を使って、選手へのファイトマネーの上乗せを図り、同時にファンとの交流の輪を広げるプロジェクトを発表した。目標金額は1000万円で、期限は10月16日。ボクシング界ではまだ主流になっていないが、クラウドファウンディングという支援者と夢の実現を共有する新たな資金調達の取り組みを実践することで、今後、資金力のない弱小ジムが世界戦を実現するための手法の先駆けになればという狙いがある。 その会見に、その進退が注目されていた八重樫と、元ロンドン五輪銅メダリストの清水聡が出席した。主旨に賛同した八重樫が大橋会長に会見への参加を志願したという。 「ここに来るってことは、“やる”ってことかと、ひと悶着あったんだけどね」と大橋会長。 八重樫は、5月21日に有明コロシアムで行われた暫定王者のミラン・メリンド(フィリピン)とのIBF世界ライト級王座の3度目の防衛戦で、1ラウンドにまさかの衝撃TKO負けを喫した。翌日からすぐに練習を再開していたが、大橋会長からは、「お疲れさん」と引退を勧告された。 「負けてすぐは、やる気になるもの。時間が経過して冷静になると気持ちも変わっていく。何しろ体のことが一番心配だし、じっくり時間をかけて進退を考えなさい」 しばらくすると、八重樫はジムに顔を出さなくなった。頭をよぎったのは引退の2文字だ。 「負けた直後は、悔しさで再開しましたが、時間が経過すると悔しさも薄れ、モチベーションも薄れて、もういいんじゃないか、と自分への疑問も出てきて練習へ足が向かなくなりました」 1か月以上、ジムから遠ざかった。王者のまま引退した元3階級王者の長谷川穂積氏には、「10年後にダメージが出るから。とにかく体を大事に」というアドバイスももらった。