実は野遊びが趣味!笠原将弘さんの「だしを取らずにうま味を引き出す和食」レシピ5選
外でも旨いものが食べたい!アウトドアで美味しい和食が作れたら…。そんな欲求を満たしてくれるべく、人気和食店「賛否両論」の笠原将弘さんがとっておきのメニューを紹介してくれた。 【写真23枚】十分なうま味と塩気を持つ塩昆布とベーコンの食材を使えば、炊き込みごはんもだし要らず。笠原将弘さんの和食レシピ5選を写真で見る ・笠原将弘さん 実家の焼鳥店を継いだのち、和食店「賛否両論」を開店。厨房で腕をふるうほか、テレビやYouTubeを通して料理の楽しさを伝えている。
野外ではほとんどだしをとらないんです
「今回紹介する料理はどれも実際に、僕が野外でしょっちゅう作っているものなんですよ」 とは和食の達人、『賛否両論』の笠原将弘さん。実は野遊びが趣味で、同年代の仲間たちと季節ごとに千葉や福島まで遠征するのだとか。目的は旨いものを食べ、楽しく飲むこと。そこで笠原さんが料理隊長を務めるという何とも羨ましい野遊びだ。 「釣った魚を天ぷらにしたり、鶏肉を丸焼きにしたり。いろいろやりますけど、オジサンたちからよくリクエストされるのはやっぱりだし系の料理です」 でもね、と笠原さん。「野外ではほとんどだしを取りませんよ」とあっさり告白する。 「その代わりに、うま味の素になる食材をうまく利用します。欠かせないのは常温で持ち運べる昆布茶や塩昆布。汁物やごはんものに使うと、本当、滋味深い味に仕上がるんですよ」 鍋料理は鉄板。オジサマたちに大好評だという湯豆腐は、昆布茶でうま味を出し、梅干しで風味を補った一品だ。「具はもちろん、うま味ある汁をアテに酒が飲めるし、梅干しの香り効果で悪酔いしません」と笑う。 炊き込みごはんは塩昆布とベーコンで、魚の煮つけはキノコも一緒に煮ることで、うま味を補強。と、和の達人が放つ野遊び飯の極意は我らもマネできることばかり。試さない手はない。 ・静かな住宅街に佇む人気店 賛否両論 2004年の開店以来、独創的な感性で作りあげる日本料理で予約が取れない人気店となる。メニューは季節の素材を活かしたコースのみ。毎月1日12時から翌月分の予約を受付する。 住所:東京都渋谷区恵比寿2-14-4 営業時間:18:00~22:00 ※土曜のみ12:00~ランチ営業 定休日:不定休 日曜 ◆昆布茶と梅干しで絶品鍋に! 豚とクレソンの梅湯豆腐 旨い汁で火の通りやすい具をさっと煮るだけ。つゆはたっぷり、野菜は潔く一種が笠原流。レタスやもやしも旨い。〆は麺か雑炊か⁉ ・材料(2人分) 豚バラ薄切り肉…200g 絹ごし豆腐…1丁 クレソン…2把 梅干し(塩分8%程度)…4個 塩…少々 A 薄口しょうゆ…大さじ3 みりん…大さじ3 砂糖…大さじ1 昆布茶…大さじ11/2 水…1L かつお削り節…適量 ・作り方 (1)(自宅で準備)豚肉は長さ10cmに切り、沸いた湯で茹でてアクを取り、ザルに上げる。冷ましてタッパーに入れ、持参する。 (2)豆腐は8等分に切る。クレソンは葉をつみ、茎は食べやすい長さに切る。 (3)鍋にAを入れ、中火にかける。沸いたら豚肉、クレソンの茎、豆腐を順に入れ、弱火で3分ほど煮る。梅干しを入れて塩で味を調え、クレソンの葉を入れて完成。取り皿にとり、好みで削り節をかける。 ・キャンプでのPOINT1 だしの代わりに昆布茶を入れてうま味をプラス。笠原さんはいつも、数種の昆布茶をポーチに詰めたマイ昆布茶セットを持参。 ・キャンプでのPOINT2 澄んだ汁を味わうために、肉は別途茹でてアクを取りたい。その作業を家で済ませて持参すれば野外調理が楽に。 ・キャンプでのPOINT3 常温で持参できる梅干しは何かと便利。鍋ものに入れれば一気に味にメリハリがつき、汁までごちそうに。 ◆野外で味わう乙な味に悶絶 銀ダラとキノコの煮つけ 野外で魚を煮るなら豪快に。魚だけでなく、だしが出るキノコをどっさり一緒に煮れば、キャンプ料理ビギナーでもばっちり味がキマる。 ・材料(3~4人分) 銀ダラ(切り身)…2切 シイタケ…4枚 マイタケ…1パック 長ネギ…1本 ショウガ…1片 A しょうゆ…60ml 砂糖…50g 酒…90ml 水…180ml ・作り方 (1)シイタケは石づきを取り、傘の部分は手で半分にちぎり、軸は手で半分にさく。マイタケは食べやすい大きさにほぐす。 (2)長ネギの白い部分は幅1cmの斜め切りに、青い部分は小口切りにする。ショウガは薄切りにする。 (3)銀ダラは表面の水けをキッチンペーパーで拭く。 (4)フライパンにAを入れて強火にかけ、銀ダラ、キノコ類、長ネギの白い部分、ショウガを入れる。沸いたら中火にし、落とし蓋代わりのアルミ箔を被せ、10分ほど煮る。 (5)長ネギの青い部分をのせる。 一般的に行なう霜降りは手間なので省略。代わりに表面の水気を拭けば生臭みが取れる。 アルミ箔を落とし蓋にすることで煮汁が対流し、美味しく仕上がる。煮すぎは禁物。 ・キャンプでのPOINT 市販のキノコ類は、風味を保つために水洗い不要。マイタケは手でほぐせ、シイタケも根元の石づきを切る以外は手でさけるので、野外で気軽に使える。 ◆ニラとニンニクが香る アボカド キムチ風 ちょっと変わり種が食べたい。そんなときにぴったりの一品。即席キムチの素を多めに作っておけば、キャンプ場でアレンジ自在! ・材料(2~3人分) アボカド…1個 ニラ…3本 長ネギ…1/4本 ニンニク…1片 白ごま…小さじ1 A コチュジャン…大さじ3 酢…小さじ2 しょうゆ…小さじ1 砂糖…小さじ1 ・作り方 (1)即席キムチの素をつくる。ニラは小口切りに、長ネギとニンニクはみじん切りにする。それらをボウルに入れ、Aを加え混ぜる。 (2)アボカドの種と皮を取り、ひと口大に切る。 (3)アボカドと即席キムチの素適量をさっくりと和えて器に盛り、白ごまをふる。 ◆即席キムチの素を梅干しに和えても コクのあるキムチの素は、意外にも梅干しと相性抜群。トマトや長イモに和えたり、豆腐やごはんにのせても、とアレンジしたい放題。 ◆ダブルのうま味でだし要らず サツマイモとベーコンの塩昆布炊き込みごはん 青空の下で味わう具沢山の炊き込みごはんは格別だ。水場での作業を減らすために、米は家で洗って持参しよう。「どんな鍋でも炊き方は一緒」と笠原さん。 ・材料(2~3人分) サツマイモ…1/2本 ベーコン…3枚 万能ネギ…適量 塩昆布…10g 米…2合 粗挽き黒こしょう…少々 A しょうゆ…大さじ2/3 酒…大さじ2 水…360ml ・キャンプでのPOINT1 米は研いで30分ほど浸水させ、ザルに上げて水けをきる。ビニール袋につめて持参する。 ・作り方 (1)サツマイモは皮付きのまま2cm角に切る。ボウルに入れて断面のでんぷんをさっと水で洗い流す。 (2)ベーコンは幅1cmに切る。万能ネギは小口切りにする。 (3)大きめのメスティンに米とAを入れ、サツマイモ、ベーコン、塩昆布をのせ蓋をする。強火にかけ、沸いたら中火で5分、弱火で15分炊く。火を止めて5分蒸らす。 (4)万能ネギ、黒こしょうをふる。 ・キャンプでのPOINT2 塩昆布とベーコン。十分なうま味と塩気を持つダブルの食材を使えば、炊き込みごはんもだし要らず。