人類は原始時代に戻れない 枯渇する資源を宇宙で獲得する時代へ
THE PAGE
地球の資源がいつか枯渇し、地球は文明を維持できなくなる日が到来する。そうしたクライシスを乗り切るために「地球の外に資源を求める時代がくる」と東京大学総合研究博物館の宮本英昭准教授(固体惑星科学)は主張する。「産業革命に匹敵するほどの文明の大転換」に向けた現状と未来について、宮本准教授に話を聞いた。
人類は原始時代に戻れない
今日の世界では、人口の増大や生活レベルの向上などによって、地球が長い年月をかけて蓄積してきた資源を、極めて早いスピードで消費しています。特に、金属資源についてはエネルギー資源と同じく100年以下で枯渇するとされており、これらが枯れるのをだましだまし先延ばしつつ、何とかかじ取りをしようとしているのが今の地球文明です。 ならば、人類は原始時代の生活に戻れば良い、という意見がありますが、これは話になりません。全人類が太古の生活をすると仮定すると、地球上に1億人程度しか住めない計算になります。世界の全人類の70億人のうち、残り69億人はどうすればいいのか。元の道に戻る選択肢はもはやありえないのです。全人類がエネルギーも資源も食料もふんだんに使い続ける未来も、ありえません。
宇宙資源の獲得は産業革命に匹敵する大転換に
こうした状況を解決するには、資源の流出量を抑える(省エネ化を図るなど)、もしくは流入量を増やすという2通りが考えられます。前者の代表的な考えとしては、持続可能社会の実現を目指すというものでしょう。わたしは後者の考え方、地球以外のところから無尽蔵の資源を採ってくるのが決定的な解決策ではないかと思っています。それが、宇宙資源です。 なお、資源工学的な「資源」の定義には、経済的な合理性を持つことが含まれます。別の惑星に金属資源があったとしても、地球で採るよりも高コストなら資源とは言えませんので、現時点で「宇宙資源」は存在しません。ただ今後、宇宙から資源を持ち帰って、それがコスト的に見合うなら宇宙資源はある、ということになるでしょう。もしそうなれば、産業革命に匹敵するほどの世の中の大転換になると思います。