職場でパート勤務の人に「もう1つの勤務先とあわせて10時間働いてるから」と、2時間分の“残業代”を請求されました。うちでは「4時間」しか働いていないので、払う必要はないですよね…?
割増賃金を払うのはどちらの会社?
ダブルワークの労働時間は次の順で通算していき、法定労働時間を超える部分に労働させた会社が割増賃金を支払うことになります。 (1)先に労働契約を締結した会社(以下A社)の所定労働時間 (2)後から労働契約を締結した会社(以下B社)の所定労働時間 (3)所定外労働時間(実際に行われた順に) 後から労働契約を締結した会社が支払うケースが多いですが、先に締結した会社が支払うケースもありえます。具体例を見ていきましょう。 ■所定労働時間だけで法定労働時間を超えた場合 例えば、A社の所定労働時間6時間、B社が3時間だった場合は、8時間を超えた1時間分の割増賃金をB社が支払います。A社の所定労働時間6時間(1)、B社の所定労働時間3時間(2)の順に通算するからです。 ■先に労働契約を締結した会社が割増賃金を支払う場合も 例えば、A社の所定労働時間が5時間、B社の所定労働時間が2時間である人が、A社で所定外労働を2時間行った場合はどうでしょう。 まずA社の所定労働時間が5時間(1)、次にB社の所定労働時間が2時間(2)の順に数えます。この時点で労働時間は7時間です。 A社の所定外労働時間2時間は、前記の(3)にあたり、最後に通算するため、このうち1時間が法定労働時間の8時間をはみ出します。つまり、1時間分の割増賃金を支払うのはA社となるのです。 このように、先に労働契約を結んだとしても、割増賃金支払い義務を負うことがあるため、ダブルワーク従業員の労働時間管理が必要となります。
ダブルワーク従業員の労働時間管理は大切
法定労働時間は、自社以外の労働時間も通算するため、会社はダブルワークを行っている労働時間はしっかり管理しなければいけません。後から労働契約を結んだ会社はもちろん、先に労働契約を結んだ会社であっても、割増賃金の支払いが発生するケースがあります。 時代の流れとして、ダブルワークをする人はこれからも増えるでしょう。今のうちに正しい給与計算方法を確認しておくと良いかもしれません。 出典 e-Gov法令検索 労働基準法 厚生労働省 法定労働時間と割増賃金について教えてください。 厚生労働省 「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A 執筆者:浜崎遥翔 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャルフィールド編集部